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いい子なのは分かったけど……ハンスはすでにアンドレと……
「ハンス!タチアナ嬢が来たときいたが本当か?おお、まさしくタチアナ嬢!久しぶりだな!相変わらず凛々しいな!」
バンッとドアが開いて、騒がしくアンドレが入ってきた。タチアナに挨拶したあと、ゼニー子爵の隣に座った。
「ア、アンドレ様!お久しぶりでございます!覚えていただいていたとは……身に余る光栄です!凛々しい等と、アンドレ様の美しさに比べれば、私など雑草のようなものです」
「はっはっは!さすがハンスの想い人だ!安心しろ、俺程ではないが、十分美しいぞ!
それでなんだ?よりを戻すのか?よかったなハンス!酔っていつもタチアナ、タチアナとうるさかったのだ」
ニヤニヤしながらアンドレがさらっと爆弾発言をした。てかそうだったの?私はてっきり2人が……そっか~……勘違いだったのか~。
「っちょ!アンドレ様、何言ってるんですか!」
ハンスもタチアナも真っ赤になっている。
「あ~……なるほど。タチアナさんは冒険者はやめてハンスの側にいた方が良さそうですね。
今までは結構近場の仕事だったけど、今後移動に何日もかかるような領に行く事になるので、ちょっと心配だったんですよね~……
でも、先に男爵家に連絡した方が良さそうですね。きっと心配していますよ?」
「いいんです。家は捨ててきましたから……それに、今更ハンス様のお側になど都合がよすぎますので、予定通り冒険者になろうと思います!」
「いや待ってくれ!やっと再会出来たんだ……頼むから、側にいてくれないか?」
「ハ、ハンス様……」
思わず涙がこぼれたタチアナを、ハンスは愛おしそうに抱きしめた。
「あ~……完全に2人の世界に入ってるところをごめんね?でもね、やっぱり一緒にいると言うことなら、男爵家に連絡は必要だよ?」
「何故ですか?父はハンス様と結婚することは反対なのです!連絡をすれば連れ戻されるかもしれません!」
「うん、まあそうだけどね……親の立場からしたら、娘には幸せになって欲しいんだよ」
「私の幸せはハンス様と一緒にいることです!」
「うん、それは分かってるよ?でもね、ハンスは今でこそアンドレ様の作った義足で杖を使わずに歩けるようになったけど、少し前までは杖を使わなきゃ歩けなくて大変だったんだよ。
片足が無くて、左手の握力もほとんど無い……いくら好きでも、親としては娘が苦労するのが分かっているからこそ、結婚させたくなかったんだよ。
今は辛くても、別の人と結婚して生活していくうちに、その人の事が好きになるかもしれないでしょう?
ただ穏やかで当たり前に幸せになって欲しかっただけなんだと思うよ?
それに、このままだとゼニー子爵家にも迷惑がかかるよ?2人の気持ちは分かったから、私もご両親の説得に協力するからさ、とりあえず手紙を書いて、ハンスと結婚したいって伝えよう。
あ、そうだ!写真も一緒に入れたらどうかな?義足で普通に歩けるよってのも伝えて、今はこんな仕事してますって感じで伝えたら、少しは安心じゃないかな?
せっかくだったら王都にお招きするのもいいかも!実際に仕事したり、普通に生活してるハンスの姿を見た方が早い気がする!
それに、妹さんとお婿さんも新婚旅行気分でお招きして、写真撮ってあげたらいいじゃん!
そうと決まれば、さっそく2人の写真を撮りに行こうよ!」
「そうだな……タチアナ、ご両親に手紙を書こう。俺も認めて貰えるように頑張るから!ご両親に認めて貰ったら、結婚しよう!」
「はい!」
そうと決まれば、さっそく写真屋さんへ向かう事になった。美男美女でいいモデルになりそうなので、ポスター用の写真も撮ることにしよう。
衣装選びからおじちゃんに写真を撮って貰い、ヘアメイク、撮影風景は私が撮ろうかな。
結婚式風にしたかったので、白いドレスを選んで貰うことになったが、タチアナの凛とした雰囲気にピッタリのドレスが中々無かった。
とりあえずシンプルなAラインのドレスを選び、白のかっこいいトレンチコートを出して上から着せて袖を3回折ってさらに肘までくしゃっと上げて、ウエストベルトを無造作な感じで結ぶと、タチアナの雰囲気にピッタリのかっこいいドレスになった。
髪もドレスの雰囲気に合わせて巻いてリーゼント風にして、後ろはそのままおろした。うん、かっこいい!
メイクもかっこいい感じで仕上げて、完成だ。背が高いので、靴はペッタンコをはいて貰う。
ハンスもタチアナに合わせてかっこいい系でキメている。
「ダリア!久しぶりね……貴女からの手紙、毎回心待ちにしていたのよ……本当にありがとう」
「いえ、私が出来るのはそのくらいでしたから……うう、お2人が一緒になれて……本当によかったです!」
あれ~……?ダリアはハンスの事が好きだったんじゃ……?もしかしてそれも勘違い?私の勘っていったい……
う~ん……なんか花が浮いてるよね……雰囲気に合わせてカラーを3本そのまま持たせてみたけど……
「あ、あれがいいんじゃない?花を置いて、コスプレ用の剣を持ってみたらどうかな?」
「あ、あの、この剣ではダメでしょうか?」
タチアナが1本の美しい剣をアイテムボックスから取り出した。
スタジオ中がドレス姿なのに剣を持たせるの……?って感じの空気だったが、タチアナが取り出した剣を片手でさりげない感じで持つと、ドレス姿なのにしっくりとおさまった。




