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高校中退から始まる探索者生活  作者: 聖花 シヅク
借金苦の生活は嫌なので探索者になろうと思います
9/13

クランに入りました→盛大にお祝いしてくれるそうです

皆さん、おはようございます

そして、お久しぶりです

諸事情で半月ほど更新できていませんでしたが、本日より更新を再開します(ストックがあるとは言っていません)

という事で、『第9話』お楽しみください


 迷宮から出た珱霞は、家へと帰っていった。

 明日は朝早くでなければならない。電車を使えばかなり早くなるとは言え、その本数があまり多くないのだ。一本逃すと2時間以上空いてしまう。そうなったら、電車を待つよりも自転車で行って方が早くなる。とは言え、話し合いをする前に汗だくになっていくのもどうかと思うので、出来れば電車に乗っていきたいと思っていた。


 そう言った理由で珱霞は翌日の準備を終え、その日にしておくべきことを終えると就寝した。


■■■■■

翌日


 珱霞は余裕を持って駅へと到着し、予定通りの時間の電車に乗ることができた。

 現在の時間は8時20分。到着するのは約1時間後で、集合の時間は10時頃だ。駅からクランの建物までは近い様なので、多少余裕を持って着ける時間の電車があって良かった。これより前だと7時少し前。あとだと10時ごろなので、到着には早かったり遅かったりしてしまう所だ。




 一時間ほど電車に揺られ、電車から降り集合場所に到着したのが9時半。

 集合場所はクランの裏口で、久良が迎えに来てくれるらしい。


「おや?随分と速いご到着ですね。集合時間は10時だったはずですが」


 あと30分程時間を潰そうとスマホをいじっていると、正面から声をかけられた。

 相手は久良で、彼も今到着したところなのだろう。


「電車がこの時間しかなかったので」

「そうでしたか。遅れるよりはいいですが、あまり早く着きすぎないようにしてくださいね。下手をすると、不審者として通報されますよ」

「はい。気をつけます」

「では、中にお入りください。外は暑いですからね。中は涼しいはずですよ。深芭さんが暑いのが苦手ですからね」

「そうですか。では、お言葉に甘えさせてもらいます」


 珱霞は久良に続いて中に入っていく。


「今から深芭さんの所へ向かいます。あなたがここに入るにあたって、いくつかの書類に記名をしていただきます」

「分かりました。どの位かかりますか?」

「そうですね…出来るだけ中はちゃんと読んでもらいたので、20分ほどでしょうか」

「じゃあ、もう少し早く終わると思いますよ。速読なども出来るので」

「そうでしたか。では、出来る限り漏れの無いようにお願いします。あとで契約をきちんと読んでいなかった、と言われても困りますので」

「まあ、記憶力はいい方なので、そうそう忘れませんよ。では、これからよろしくお願いしますね」

「ええ。こちらこそ。では、隣の部屋でお待ちしていますので、記入が終わりましたらいらしてください」


 深場の所に到着し、久良は部屋の前で紙を数枚渡すと、隣の部屋へと入っていった。


「(トントン)夜冥です」

「は~い。どうぞ~」

「失礼します」


 部屋の中はかなり質素だが、その上で気品には溢れているように見えた。

 部屋の中にあったのは、本棚と真ん中に置いてある縦長の机、それを挟むように置いてある二台のソファー。そして、深芭の座っている机だけだ。


「いらっしゃい。夜冥珱霞さん、であっていますよね」

「ええ。こちらこそ。深芭・リオナ・ブランフィードさん。僕のことは珱霞と呼んでください」

「分かりました。珱霞。私のこともリオナと呼んでください」

「流石に呼び捨てはまずいので、リオナさんと呼ばせていただきます」

「仕方ないですね。それでいいです。ところで、随分と速いお付きでしたね。どうかしましたか?」

「いえ。電車がなかっただけです。下で時間が来るのを待っていたら、久良さんが来まして、入れていただきました」

「ところで、先程から読んでいるそれは何ですか?」

「ここに入るにあたっての書類です。すでに半分ほどは読み終わっているので、あと数分ほど待っていただければ終わります」

「そ、そうですか(あれ?あの書類ってここに入るにあたってのだよね。あれって、隅々まで読むことまで考えて作っていなかったはずなんだけど‥‥入るまで一切読んでいなかったみたいだし。半分も読み終わっているというのは流石に冗談だよね)」


…数分後


「すいません。お待たせしました」

「え…あれ、読み終わったの?」

「ええ。読み終わりましたよ。ペンを貸していただけませんか。こういったものにサインするとは思っていなかったので、筆記用具は何も所持していなかったもので」

「あ、はい。少し待ってくださいね‥‥はい、こちらをどうぞ」

「ありがとうございます」


 珱霞は名前を書き終え、住所を記入しようとして手を止めた。


「すいません。住所の事なのですけど」

「どうかしましたか?」

「その内引っ越しをすることを考えていまして、今の家からは一月もしないうちに引っ越す予定なので」

「そうでしたか‥‥では、ここの寮にでも入りますか?正確には、寮母として、ですけど」

「寮母、ですか?」

「はい。どうでしょうか?きちんとお給料も出しますし、やることは外出届の出ていない人が、夜に寮にいるか確認してくれるだけでいいです。そうすれば、寮に住んでもいいですよ」

「‥‥月ごとの契約でお願いしてもいいですか?」

「1月ごとですか?」

「はい。まだ、収入も安定していないので、しばらくは自分の家を持つことは難しいかもしれませんが、半年もあれば収入は安定する予定なので。取り敢えずはそれまで。半年と言っているのも、元々の予定ですので、こちらに入ったことで多少は前倒しになると思いますから」

「そうですか。では、月ごとで契約は更新することにしましょう。では、仕事の方詰めていきましょうか」

「はい。お願いします」


 仕事は夜の人数確認に加え、料理と洗濯が加えられた。とは言え、男の人は殆どいないそうで、洗濯は女性の方が納得したらだそうだ。

 正直、女性の服まで洗濯するのは遠慮願いたいが、仕事である以上はアルバイトと思って我慢することにしようと思う。


「では、来週からお願いしますね」

「こちらこそ、よろしくお願いします」


 珱霞は挨拶をしてクラン長室から出ると、隣の久良の入っていった部屋へをノックした。


「どうぞ」

「失礼します」

「珱霞さんでしたか。どうかしましたか?」

「いえ。書類の方、記入が終わりましたので提出に参りました」

「随分と速く終わったのですね」

「ええ。リオナさんのご厚意で、寮母のバイトもやらせて頂けることになりました」

「寮母…ですか?」

「ええ。何か問題でも?」

「あそこに入っている人たちには、問題児も多いので。夜消灯時にいない人がいたら、その人の名前をメールなどで伝えてください。少しでも力になりますので」

「ありがとうございます」

「いえ。そのような仕事をやらせたのは、良く分かっていないうちの団長のようなので、出来る限りのフォローはしなければと思いまして」

「随分とリオナさんの事を気にしていらっしゃるのですね。好意からのものかとも思いましたが、それとはまた違うようです。リオナさんの事を話すときの目を見たところ、どちらかと言うの子供。この際は妹の方が良いのでしょうか。そのような自分よりも年下の子を可愛がっているような…慈愛の表情。その様に感じます」


 久良さんは一瞬驚いた表情をした後、すぐに表情を戻した。

 一瞬のことで見逃しそうにもなったが、小さいころから親のヒステリックから逃れるために、表情をうかがっていた珱霞には簡単に分かった。

 表情を戻した後は、リオナさんについて話すときのような、慈愛の表情を浮かべた。


「あなたの事を少し見くびっていたようです。流石にここまで短時間でそれに気づかれたことはありませんでした。ずっと一緒に行動しているうちに、と言った感じの方は何人かいらっしゃいましたが‥‥あなたの観察眼は私の想像をはるかに超えていたようです」

「小さい頃は、親の顔色をうかがって逃げる毎日でしたから。それに、学校でも周りの表情をうかがって生きていたので。かなり窮屈ではありましたけどね」

「そうでしたか。あなたの身の回りの事については調べさせていただきましたが、あなたの両親が書類上のもの以上に酷かったようですね。どうしますか?法的措置もとれますよ。こちらでは何処へ逃げたのかも分かっていますので」

「いえ、僕の前に現れない限りは、特にこちらからコンタクトを取るつもりはありませんよ。もしも、『育ててやった恩を返せ』などと莫迦みたいなことを言われれば、それなりの対応を取りますけどね」

「その時はお手伝いしますよ」

「ええ。その時は頼らせていただきます」


 二人して黒い顔をしながら、その話は終わった。


■■■■■


「では、そろそろ行きましょうか」

「どこかに行くのですか?」

「あなたの歓迎会ですよ。このクランでは新メンバーが入るたびにやっていますので。まあ、最近は早々行われていませんでしたけどね」

「ここでは、その様な事までやっているのですか」

「アットホームのクランを目指していますからね。お嬢様は」

「お嬢様?」

「おっと。今のはお忘れください」

「まあ、何となく分かりましたけど、そうしておくことにします」

「そうしてくださると助かります。では、ついて来てください」


 久良さんについていった先にあったのは、大きなホールだった。

 アニメなどであるような、貴族や富豪たちが集まるような場所だ。そこには色々な食事が置いてあり、いかにもパーティーをするような感じだ。食事は冷たいデザートしか出ていないようだが、それには意味があるのだろうか?


「皆さん、お集りいただき有難うございます」


 スピーカーから声が聞こえてきた。

 前の方を向くとリオナさんがマイクを持って立っていた。


「本日から新たにこのクランに所属することになった、仲間を紹介します。夜冥さん、前へお願いします」


 あそこまで注目されているところに立つのは嫌だったが、呼ばれたからには出ていかないわけにはいかない。

 仕方なくゆっくりと、それでいてどっしりとした感じに歩いていった。いかにも自信がある様に見えているだろう。こういう所では虚勢を張ることも大切だ。勿論、学校の交流会くらいでしか、このような場に立ったことは無いのだが。


「初めまして。夜冥珱霞です。まだ、探索者となって5日と過ぎていないような若輩者ですが、このようなクランに誘っていただけたこと、恐悦至極に存じます。ですが、入れていただいたからには、全身全霊でこのクランのために粉骨砕身の思い出励もうともいます。これから、よろしくお願いします」


 そう言って頭を下げると、まばらではあったが拍手が送られてきた。


「夜冥さん、有難うございました。ここまで格式ばった挨拶をした人は、私と久良以来でしたが、こちらこそよろしくお願いします」


 あそこまで格式ばった言い方をしなくてもよかったらしい。

 まあ、変になめくさったような口調で話すよりかは、こちらの方が好印象になるはずだ。


「では、一人ずつ簡単に自己紹介をしていきましょうか。では、最初は生産部の方たちからお願いします」


 その後、一人一人自分の名前と役割だけ説明していき、全員の話が終わったところで徐々に食事が運び込まれてきた。

 運び込まれてきたのは魚介類や肉類など、主菜となるものから野菜類の副菜、またご飯やパンなどの主食にカレーやスープなどもあった。

 他の人と話しながら食事を続けていき、3時間ほど過ぎたところでパーティーは終了した。


最後までお読みいただき有難うございました


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