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高校中退から始まる探索者生活  作者: 聖花 シヅク
借金苦の生活は嫌なので探索者になろうと思います
11/13

寮母に就任しました→師匠が出来ました

皆さんおはよございます

突然ですけど、何だかこの頃バトルシーンを一切書いていない気がしてきました

そもそも二週間ほど書いていなかったこともあるのかもしれませんが、バトルシーンよりも日常話になっていますね

そろそろバトルシーン、もしくは訓練のシーンでも書きたいです

なお、この話でストックは切れたので、明後日までに書き終わるかは分かりません

明後日までに書き終わらなかった場合には、一週間ほど更新を休む旨をTwitterで言いますのでそちらでご確認ください


では、『第11話』お楽しみください


 寮の皆に挨拶を終えた翌日、珱霞は再び寮を訪れていた。

 元々珱霞の荷物など殆どなかったので、数着の衣類と探索者として必要な物を除いて処分してもらうこととなった。

 また、寮母を受けるにあたって、学校とアパートの滞納分を負担してもらうこととなった。その額なんと150万。学校が私立であったこともあり、一年分ともなるとこの位にはなってしまった。これで1年分だと考えると安い方ではないだろうか?珱霞の通っていた学校はこの辺りだと有名なところで、中高大一貫校だった。中学から通っている人に関しては、本当の金持ちばかりで、大学にまで一貫で通う人など、数えられるほどしかいなかった。

 その他にも、水道代や電気代などもアパートの大家さんには立て替えていただいていたようで、本当に頭が上がらない。それにしても、大家さんは随分な金持ちだったのか?


 珱霞は寮のインターホンを押し、人が出てくるのを待った。


「(ガチャ)‥‥あ、珱霞。入れば」

「ああ、そうさせてもらうよ」

「随分早いけど、どうしたの?」

「家にいても特にすることもないからな」

「そう。じゃあ、ダイニングで待ってて。夏弥呼んでくる」

「ああ、よろしく」


 珱霞にそう言い残し、那波は2階へと上がっていった。


■■■■■

数分後


「連れてきた」


 そう言って珱霞の前に出したのは、枕に引っ付いた夏弥ちゃんだった。

 枕にしがみついた人間一人を、枕を掴んで持ってくるのは異常な事にも見えるが、探索者であればこの程度の事をできる人は少なくないはずだ。流石に後衛では無理だろうから、那波は前衛系なのだろう。


「あ、ああ。ありがとう?」


 流石の珱霞も若干引き気味にお礼を伝える。

 流石に、このような方法で連れてくるとは思ってもみなかったし、尚且つ何故眠った状態の彼女を連れてきたのか‥‥正直理解に苦しむ。

 とは言え、このまま彼女を寝させておくわけにもいかない。なお、この時点で時間は10時を既に過ぎている。


「お~い。夏弥ちゃ~ん。起きろ~」


 肩を揺すりながら、呼びかけを行う。勿論、こんなもので起きるとは思っていない。両親が酒におぼれて、二日酔いよりも酷くなったときと同じようなものだと考えている。まあ、彼女の場合は夜遅くまで起きていた可能性が高いのだろうが。


「いつもはどうやって起こしているんだ?」

「起きるのを待ってる。重要なときは徹夜するから、問題は今まで起きたことない」

「そうか。じゃあ、無理矢理起こすとするか。流石に、こんなに気持ちよさそうに寝ているのを無理矢理起こすのは気が引けるけどな」

「どうやって?」

「そうですね‥‥まあ、部屋の温度を変えるのが一番楽なんですけど、この家にストーブなんかは無いですよね?」

「‥‥暖炉ならある」

「何故暖炉があるのか気になるけど、まあ、そこの前に連れて行こう。火をつけるやつは?」

「私が火の魔法は使える」

「じゃあ、よろしく。連れてくのは‥‥」

「よろしく」

「だよね」


 珱霞は枕を肩に担ぐと、那波についていった。


「ここ」


 暖炉があったのは、隣の部屋だったようだ。

 那波に暖炉に火をつけてもらうと、ある程度熱くなってきたところで夏弥ちゃんを暖炉の前におろした。

 そして、珱霞と那波は部屋から出た。勿論、エアコンは切り部屋は閉め切ってだ。


 数分後、夏弥ちゃんは汗だくな状態で部屋から出てきた。

 暑いからか、薄手のパジャマだったので、ぺたーっと体に張り付いていて、若干エロイ。身体の凹凸が貧しくともこういう所は女の子だと思う。


「夏弥、服着替えてきたら?」

「え?ふ、く‥‥キャァァァァァ!」


 夏弥ちゃんはダイニングから飛び出し自分の部屋へと戻っていった。


「今のタイミングでそれを言うか?」

「当然」

「まあ、僕はいいけどさ。あとでバレたらバレたで、何故教えなかったのか、って怒られそうだし。それはそうと、どの位で戻って来るかな?」

「さあ?部屋のシャワーで汗くらいは流してくるかも」

「部屋にシャワーがあんのか?」

「ん。普通の家だと珍しいけど、ここはある。それぞれの部屋に風呂とトイレくらいはあるよ」

「ホテルかよ‥‥じゃあ、しばらく戻ってこないなよな?」

「そうなる」

「じゃあ、僕の部屋だけでも教えてくれないか?荷物くらい置いてきたんだけど」

「ん。こっち」


 珱霞の部屋は二階の突き当りだったようだ。

 部屋の広さは昨日まで住んでいた部屋の倍以上はあるだろう。こんなことを言っては大家さんに悪いが、比較にもならない。高層マンションのその隣に立っている日陰のボロアパートくらいの差がある。


「これが僕の部屋?」

「ええ。と言うより、この部屋しか開いていないわ。他の部屋は客室だったり、深芭さんの部屋だったりするから」

「え?リオナさんもこっちの寮に泊まることあるの?」

「帰って来るのが遅くなったときはそうね。と言うより、あなた団長のことミドルネームで呼んでいるのね」

「ああ、今日そう呼ぶように言われてね。最初は名字で呼ぶつもりだったんだけど…まあ、本人から言われたから」

「それでも大体の人は皆断っているわよ」

「え、アレ断っていいタイプのお願いだったの」

「逆に何で断っていけないものだと思ったの‥‥じゃ、そろそろダイニングに戻る。もう夏弥も着替えや風呂は終わっていると思うから」

「分かった。じゃあ、荷物だけまとめたら戻るから、先に戻っていてくれ」


 那波には先に戻ってもらって、少し荷物をまとめた後珱霞はダイニングへと戻っていった。


「悪い、少し待たせたかな?」

「だ、大丈夫です!こちらこそ、先程はお見苦しいものをお見せしました!」


 夏弥ちゃんも焦った様子で返事してきたが、その様な事は思っていないのでやんわりと否定しておいた。真っ向から否定してしまうと、彼女は意地でも言い張り続けそうだったからね。


「じゃあ、案内を頼めるかな?」

「は、はい!」

「あ、私は出かけてくるから」

「ああ、那波もありがとうな」


 那波は先程珱霞が荷物の片づけをしているときにでも用意したのか、バッグを持って買い物に出かけた。


「で、では、ついて来てください」

「ああ。よろしく」

「どこからがいいですか?」

「じゃあ、調理場から見せて貰えるかな?」

「分かりました。ここの隣なので、すぐそこですよ」


 そう言って隣の部屋に入ると、そこにはドラマなどで見るような料理店の調理場があった。流石にここまでのものは予想もしておらず、あっても広めのキッチンだろうと高を括っていたが、予想以上の設備だったようだ。

 まあ、広くて設備が整っていて困ることは無いので良しとしよう。設備が整っていれば多少難しいものでも作ることも可能だ。それに、この部屋には地下室があり、そこは燻製なども作れるようになっているらしい。冷凍庫や冷蔵庫も船にあるような感じのもので、それぞれに一部屋が与えられていた。また、ピザを作る場所もあった。金に物を言わせて色々と設備を整えたようだ。


「つ、次は何処にしますか?」

「じゃあ、浴室と洗面所の場所、あとは洗濯物を干す場所を教えて貰えるかな」

「こちらです」


 調理場とは逆方向にあるようで、玄関の前を通りすぎてしばらく歩き続けてようやく到着した。流石はイ○ンと同じレベルの広さを持つ家だな。イ○ンなんてバイト以外で行った事無いけど。

 浴室はかなり広く、お風呂の広さは旅館などにある温泉の一つ分くらいだ。それに加えてサウナがあるため水風呂もあり、シャワーなども3カ所もあった。

 洗面所もかなり広く、温泉にあるような服を着脱するところもあった。なお、温泉もバイトでクライでしか行ったことは無い。

 最後に洗濯物を干す場所だが、超高性能であろう洗濯機と乾燥機がそれぞれ2台ずつあった。洗濯物を干す場所の広さも先程の浴室と同じ程度の広さがあった。


「あとは‥‥書庫と屋上ですね。書庫は3階です」


 三階まで上がり、書庫を見せて貰った。書庫には文学小説から娯楽小説(ライトノベル)、世界各地の本に論文などもあった。パッと見ただけでも5000冊程度はあるのではないだろうか。


「ここは私が管理していますので、探している者があるときには訊いてください。大抵のものは覚えているので」

「この数を全部覚えているのか?」

「私のスキルは“全記憶”です。覚えようと思わなくとも、見たもの全てを憶えることができます。いわゆる瞬間記憶能力と言うやつですね」

「ああ、そう言うやつか。僕もそれに似たのなら持っているよ。まあ、スキルにはなかったから、多分正式には違うんだろうけど擬似的な完全記憶能力、かな。擬似的と言うと真似しているようだから、特技と言った程度だろうけどね」

「それでも凄いですね。素の記憶能力が高いのは羨ましいです。私はあまり記憶能力が高くないので、喋ったりしても数日後には忘れてしまっていることもよくあって。全記憶は見たものだけで訊いたものまでは憶えられませんから」

「まあ、見たもの訊いたもの全て覚えられるからと言って、特に得することもあまりないよね。テストなんかだとかなり有利になるけどさ。記憶能力が高ければ勉強ができるというなら、T大なんかは記憶能力だけが高い人ばかりになっちゃうしね」

「それもそうですね」

「そう言えば夏弥ちゃん、緊張は解けたの?」

「え?あ、そうです、ね。あまり珱霞さんと話していても、あまり緊張しません…珱霞さんは喋りやすいからですかね?」

「そうなのかな?僕は良く分からないけど…まあ、喋りやすいと思ってもらえているなら良かったよ。一緒の家に住むのに、ほとんど喋れないなんてちょっと辛いからね」

「は、はい」


 夏弥ちゃんは返事して俯いてしまった。若干顔が赤くなっているが、さっきの暖炉の前にいたからだろう。あれ?暖炉消したっけ?


「ね、ねぇ。夏弥ちゃん」

「は、はい⁉何ですか?」

「夏弥ちゃんさ、暖炉って、消してくれた?」

「え?暖炉ですか‥‥あ」

「やっぱり消していないよね?!急いで消そう!」


 珱霞と夏弥は全力で階段を下りリビングのドアを開けた。途中夏弥ちゃんが転んでしまったが、それは置いておく。

 ドアを開けた先はまるでサウナのようだった。否、サウナなど生温いほどに温度が上がっていた。


「これ、どうしようか…」

「わ、私はどうにもできないですよ!!魔法も使えませんし」


 魔法…それならいけるか?


「魔法か。やってみよう。〈水針〉」


 魔法は放たれた。しかし、水針の水量では焼け石に水で、全然意味を成さない。部屋に入る前に蒸発しきってしまう勢いだ。


「チッ。セット【〈水針〉クアッド・〈水針〉クアッド・〈水針〉クアッド・〈水針〉クアッド・〈水針〉クアッド】ショット」


 水針の水量ではいくら量があっても、覚ますことが出来そうにない。いくら魔法はイメージだといっても、込めることの出来る魔量は限られ一定以上の質量は出すことができない。見た目の量を増やすと、今度は密度が下がり結局容量は変わらない。


「これじゃ、どうしようもないな…」

「〈氷地(アイスラウンド)〉一体何をしていたんだ?出迎えもなしで」

「白波さん!?」


 後ろから気配を感じ、振り返った先に居たのは白波姉妹だった。

 夏弥ちゃんはとても驚いた様子で、今にも飛び上がりそうだ。


「どうしてお二人がここに?」


 珱霞はそんな中でも落ち着いて言葉を繋いだ。


「ああ、副団長から君に修行をつけるように頼まれたんだ。だから、見に来たんだが‥‥何があったんだ?」

「暖炉をつけていたのですが、消すのを忘れてしまい…気づいたらこんなことに。火をつけるのに使っていたのが魔法だったこともあり、半永続的に燃えるために着火元は必要ですけど、それが消費されることもなく延々と。気づいたらこうなっていました」


 魔法。特に火属性の魔法は、酸素不足や水をかけることでしか消えることは無い。

 原因は不明だが、そもそも魔法と言う存在自体この世界の法則を大きく逸脱している存在だ。いまさらそんなこと気にしても仕方がない。


「今の魔法は、淳さんですか?」

「ん?ああ、私のだよ。良く分かったね」

「淳さんが魔法使いとして有名だというのは、以前訊いたことがあったので。一瞬でここまで正確に魔力を練ってこの大きさの魔法を使えるとは思ってもみませんでしたが」

「まあ、私って天才だからね」


 そう言って胸を張る淳だったが、隣に立っている櫂に殴られた。勿論そこまで力を入れていたわけでは無いだろうが、前衛の探索者と後衛の探索者では大きな力の差がある。それが同レベル帯ならなおさらだろう。

 まあ、淳は簡単に避けたので、このやり取りは今までにも幾度とおこなわれてきたものなのだろう。


「私の隣で胸を張るなと何度言ったらわかるんだ⁉コホン。まあ、そう言う訳で、私が珱霞の修業を受け持つことになった。期間は3ヶ月だ。とは言え、毎日は私も無理だから週に3、4回と言った程度だがな」

「そうでしたか‥‥」

「ねぇねぇ、櫂ちゃん。この子、魔法の適性凄い高いよ。魔法全属性に適性を持っているのは訊いたけど、それだけじゃないよ」

「魔法の適性が高い?そうは言っても、魔法などそう簡単に教えられるものでもないだろうに」

「じゃあ、私が週3回教えるから。週に3回くらいでいいんでしょう?じゃあ、残り4日の内3日は貰う。残り一日は休養でもいいよ。無理をしない程度に迷宮に潜っても良いし」

「な!?何を言っているんだ。頼まれたのは武器、主に剣の訓練だぞ。基礎があまりできていないから簡単に教えてくれとな」

「そうは言っても、さっきこの子の魔法見たけど、魔力は限界まで少ない量でそれなりに威力の高い魔法を使ってたよ。そこら辺は習わないでできるのは才能だから、実力とか知識はともかくとして才能はピカ一だよ」

「そう言ってもらえるのはうれしいけど、僕も迷宮に潜らないといけないので」

「ああ、大丈夫。魔法の訓練なんて実地で経験するのが一番だから。それに、迷宮に入らずに魔法なんて訓練出来るわけないじゃん。正当防衛以外の理由で使った場合は逮捕案件だよ」

「それは、そうですね」


 それは分かっていたが、何処かに訓練場でもあるのかと思っていた。


「まあ、私はどうでもいいが、淳はそれでいいのか?」

「うん。まあ、何かと暇だったし、協会からもそろそろ弟子を取れって煩く言われているからね。同じクランメンバーだったとしても弟子を取ったことに変わりないから、ウィンウィンな関係だよ」

「そうか。じゃあ、今から訓練をしよう…と思っていたんだが、夜冥はあまり探索者についての知識が無い様だからな。実力のある連中の名前と戦い方くらいは教えておこう」

「お願いします。その前に、この部屋の片づけだけさせて貰ってもいいですか?」

「ああ、それはこっちで消せるよ」


 氷を消した後、珱霞は二人と一緒にダイニングへと入っていった。なお、夏弥ちゃんも誘われたが人見知りを発揮して自分の部屋に籠ってしまった。


最後までお読みいただき有難うございました


作品をもっと読みたい、続きが気になると思っていただけましたら、ブックマークならびに評価の方よろしくお願いします

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