第三十話
小学六年生になるとイジメはもっとエスカレートして酷かった。
筆箱や上靴を隠される、筆箱の鉛筆を全部折られてたり、ノートに落書きをされる。ゴミ捨て当番で校舎の脇をゴミ袋を運んでいると上から水が降ってきてびしょ濡れになったこともあった。
次から次へと人が傷つく事を本当によく思いつくなぁと悪魔のような心を持ったクラスメイトに激しい憤りを感じた。その度に心に大きな傷がつき、その度に私は泣いた。どれだけの涙を流したのだろう。
心が傷つきやすい弱い私はイジメに対してとても辛くて苦しみ、毎日が地獄のような日々だった。温かい人間の血が流れているとは思えない冷血なクラスメイトたち。平気で人の心に傷をつける、それが人間。それが人間……。それが人間……。
イジメを受けている事を先生に言っても対応してもらえる事はなかった。このクラスは珍しく一年間で担任が三回が替わった。その為、先生は手におえないのか、自分のクラスの生徒を把握すらできていないのだと思った。全ての事が後回しにされ、結局は何も対応されないままだった。
イジメが怖くて登校拒否をしたかったが、母親はそれに対して怒った。不登校なんて言葉もまだ無かった世の中では、学校に行かない事は風当たりが強く、母親は泣いている私を家から追い出して、無理矢理学校に行かせた。どこにも逃げ場が無かった。死んだ方が良いのかとさえ思った。
大人しくて何も言わない私はイジメの絶好の的だった。イジメを受け続けた私はとても位の低い人間だ、底辺の人間だ、と重々に思い知らされ、なんてくだらない人間だと自分を責めた。もううんざりだった。
私は完全な人間不信になっていた。同級生とは誰とも話したくない、仲良くもなりたくない。傷つけられる、人間が怖い。すでに人間嫌いにもなっていた。人間に対して様々なネガティブ感情しかなかった。
中学生になって、私はイジメから解放された。
中学生の時は私がイジメを受けていた事を知っている人が少ないからだ。同級生がほぼ進学する中学校ではない中学校を選んで進学した。どちらかというと偏差値の高い学校だった。
そして、この学校でリオと出会った。
「友達を選ぶに決まってるじゃん」
あの時、私はそう答えを出したが、それは“間違っていた”と高校生になった今では思っている。
私は心の中でそう呟いた。




