第二十四話
ある休日の昼食時、テレビで流れていたニュースの一つに財産目当ての強盗殺人の犯人が捕まったというのがあった。
普段は口数が少ない父親が稀にお喋りになり、何かの話をする時がある。
「お金のある世界が正しいのか疑問に思うんだ。世界は正しい、正しくないで判断できる訳ではないが、おとぎ話の中の様に物々交換や贈与する世界だと、その人は少なくともお金目当てで強盗に殺される事はなかった。それでもお金目当てで殺される現在の資本主義の世界が良くて、正しいのかどうか。俺が小学生の頃、テレビでバラエティ番組とかを見ていると、皆に楽しんでもらえる為に放送していると思っていたんだ。まあ、そういった名目もあるだろうけど、やっぱり”お金”なんだよ。物を売りたいスポンサーは宣伝として、放送局にお金を出す。視聴率を上げる事でコマーシャルで売りたい物の宣伝になって、スポンサーは物が売れてお金になる。視聴率の良い番組にする為に芸能人を呼んだり、物を作ったりでお金を使う。撮影、編集、放送するの従業員や制作会社にお金を払う。全部がお金で繋がっている。生きるには衣食住でお金が必要な世界だからな。技術の発展もやっぱりお金儲けができる技術ばかり進歩している。お金が絡まなければもっと様々な技術が自由に発展するのではないか、って考えたりはしたけど、資本主義ではなくなると人は目標を失って頑張らなくなるのだろうと思う。そう考えると結果的に今の資本主義が安定して良いのかもしれない。技術も進歩しているから、お金のある世界は取りあえずは正しいという事になるかな」
私は父親のこういう長い話を聞くのが好きだった。論理が通っているようで通ってないような想像の話。口数が少ない父親の心の中ではこういう事を考えていたのかと思うと面白く思えた。
他のニュースには、山へソロキャンプに来ていた女性が殺されているのが発見された、というのがあった。やっぱりこういう事件がいつか起きると思っていた。危ないって思わなかったのかな。誰でもそう感じると思うけど。
キャンプに行ってテントの中で襲われて、殺される状況が頭の中に浮かんできた。そして殺された家族が悲しんでいる状況も浮かんできたので、とても嫌な気持ちになった。
ダイニングが誰も話したくないような雰囲気になったのを感じて、自分の部屋に行く事にした。
何だか心を落ち着かせたい気持ちになった。




