第二十三話
ある休日の夕食後、両親に学年順位表を見せた。
どう思われるのかな。以前よりちょっと順位が上がったから喜んでくれるのかな。両親の表情の変化をよく見ていた。言われるとすると何を言われるのかな。頭の中で小さな私が速い動きで駆けまわっている。
静かなダイニングが一段と静まり返った。
学期末の成績表とテスト後の学年順位表は見せるのが約束だから、良くない点数を取ろうが何を言われてもちゃんと見せるようにしている。点数が良くない時でも怒られたりはしないが、どうしてもこの時は審判の日のように感じる。勉強を頑張ってきたかどうかが判断される日だから。
「かすみ、勉強を頑張っているな。来年は受験だからな、志望大学を目指してこの調子で頑張って」
父親はいつも真面目で当たり障りのない言葉が多い。口数が少なく、心の中までは推し量れないが、優しい表情は攻撃的ではない心の現れなのかな。
「大学は今の時代どこでもいけるから、志望大学も行けるんじゃない? 母さんが学生の頃はね、同級生が多くて倍率も高かったのよ。だから大学に行きたくても行けない人が多かったからね。今は逆に学生の取り合いよ。定員に満たなくて潰れる大学も増えてるみたいだし。まあ、この辺の大学は大丈夫だろうけど、地方の規模の小さい大学とか、人気のない大学はやっていけないみたいで」
母親の考えはポジティプで、もし駄目だった場合なんて考えたりしない。はっきりとしていているが、物事を深く考えたりしないのかもしれない。
成績の話のついでに、友達のリオが投稿している動画に自分も出ていることを話した。これは内緒にする訳でもないし、聞いてほしい出来事の一つである。
「個人情報が漏れないように気を付けなよ。変な人に絡まれたりしないように。世の中には様々な価値観の人がいるからな。今は良いかもしれないが、もし閲覧する人が増えた場合を考えて進めなよ」
予想していた通り、父親は注意の話ばかりだ。でも、私も父親と同じような事は考えていた。
新しい事を始めると新しい危険も生まれる。だから顔もマスクで隠したし、余計な事を喋らないように気を付けた。名前はそのままだけどね。
リオは動画投稿とか新しい事を何も気にせずにやってのけるけど、私だったら色々考えすぎて、動画投稿までできないと思う。撮影すら始められないと思う。
「良いじゃない。楽しいなら一緒にもっと続けたら。自分を表現できて投稿できる場所があるというのはとても良い事よ。私も若い頃にそんな環境があったら投稿していたかも」
両親からのそれぞれの感想を聞いて、否定される事がなかったので嬉しかった。
私の心は喜んでいるのが分かった。




