第十八話
ある日の夕方、私は久しぶりにオンラインゲームのアンドロメダオデッセイにログインした。
今日は心が落ち着かない。頭の中で気になることがあって、頭の中が思考しすぎて止まらない。
今日の放課後に定期的な掃除当番だったのだけど、男子生徒の木村君と小林君はいつも通り
「倉里、ゴミ捨て頼むよ」
と一言を残して部活に行くのだが、女子生徒の小泉さんと佐藤さんは机までカバンを取りに来て、私の顔を見て何も言わずに無視して去っていった。
些細な事だけど気になって仕方がない。何故、無視されたのだろう。たまたまかな。それとも部活の開始時間を過ぎているから早く行かないといけないからかな。
悪意があったら傷つくなぁ。何だかとても嫌な感じ。嫌われるような事を私からしていないし、心当たりも無い。まさかこの前のリオと私が動画撮影の事を話していたのを聴いて……、なのかな。
これからも無視されるのかな。とりあえず、来週の掃除当番の時も同じ事を繰り返すかどうか確認してから判断しようかな。そう考えても頭の中でその事がずっとループしていて頭から離れない。フル稼働状態が止まらず、ずっと頭痛が続いている。
長いロードタイムが終わり、ロビーフロアには、いつもの私のキャラクターであるエストが表示された。約二週間振りの再会で何だか懐かしい感じがあった。
共闘イベントも終わったのでキャラクターも少なく、行き交うチャットも疎らで、フロア内は静かな雰囲気だ。他のキャラに絡まれないように、早速クエストカウンターでいつものクエストを受注した。
砂漠の惑星へ転送シャトルから降り立つと、いつも通り巨大トカゲが次々と襲ってくる。二週間振りだけど操作を忘れてはいない。何度も受注したことがあるクエストだもの。
最後には動きの速いサソリが砂から出てくる。出現場所を予測して、出てくると同時に強烈な一撃を当てる。その繰り返しでサソリを数匹倒せばクリアだ。
何度も何度も同じクエストを受注してはクリアする。普通の人だと飽きてしまうが、私はこういうのは何度もできる。多分、我慢強いのだと思う。
私はこの仮想世界では私は強い、私は優れている。些細な事で悩んだりはしない。そういう感覚で満たされると心が落ち着いてきた。
頭の中もゲームの事で一杯になり、無視された事なんてどこかへ追いやることができる。もしオンラインゲームを止めて現実世界に戻るとまた心が落ち着かなくなりそうなので、しばらくはここに籠っているかもしれない。
人を簡単に傷つけてくる人間は苦手。私はちょっとしたことで落ち込んだりしてしまう。心が弱いのだと思う。だから人を傷つける人の近くにはいかないようにしているし、話さないようにしている。
自分の心が傷つかないように危険から守っている。人間と話すのは良い事ばかりではないの。相手の気持ちを考えずに自分の言いたい事ばかり喋る人間だっているから。そんな人とは関わりたくないけど。
もうそろそろテスト勉強を始めないといけない。嫌なことがまた頭の中を回り始めてきているので集中できるか心配だ。早く嫌なことを忘れたい。
色々と考えすぎて疲れちゃった。




