コルセア
第一のライバルとなるコルセアが登場します。
Gです。
遂に第一の難敵、リパブリックP47サンダーボルトが登場しました。
後世の評価はあまり高くないサンダーボルトですが、とにかく頑丈で地上攻撃には、
ムスタング以上の破壊力があります。
運動性能は良く無いのですが、頑丈で事故も少ないのでルーキーでも生き残る事が可能です。
航続距離はあまり長く無いのですが、グアム~サイパン間程度なら問題は無いでしょう。
一時被害が出てた烈風部隊ですが、編成を変え、ルーキーは高高度から戦闘を見学するのみに
徹する様になってから、被害は皆無となりました。
何故見学させるかって言いますと、戦闘に入れば機動に付いて行けなくなるからですよ。
ルーキーは・・。
そしたらカモにされてしまいます。
今後は新任隊員は二ヶ月、絶対に迎撃には加えず、高高度からの空中戦見学。
頃合を見て三番機に登用とする事にしました。
サンダーボルトですが、かなり装甲が頑丈らしく、実史のサンダーボルト以上の
装甲を持つらしいです。
20ミリでも十数発は大丈夫と言いますから相当の装甲です。
急遽、飛燕と烈風のマウザー砲を改マウザー砲に更新し対応しました。
薬莢が長くなり破壊力が純正マウザー砲よりも倍近くに上がっています。
B29でも二撃も撃てば撃墜可能と判断しています。
コレならバルカン砲を出すまで充分でしょう。
ココはアスリート飛行場。
今や世界の注目の戦場だ。
独逸や英吉利の観戦武官が多く詰め掛け、空中戦を視察している。
彼等の住む欧州は今も平和だが、何時、ソ連が行動を起こすかも分らない。
そのためには少しでも戦訓を貯めておきたいのだ。
ドイツのガーランドや両足義足のダクラス・R・S・バーダー。
アドルフ・マラン。ヴァルダー・ノボトニーと言った後の時代のエースは、
熱いサイパン上空の大空を見上げ感嘆の声を上げてた。
「凄い機動性だ。それにしてもあの指揮官の判断は素晴らしい。
攻め易い所から切り崩し、敵の兵力を斬減している。
汚いと言うヤツも居るだろうが、戦闘機の空中戦指揮官としては満点だ。」
「私も同意です。ガーランド少佐。我が軍の戦闘機の指導をお願いしたい位ですよ。」
「それにしてもアメリカの新鋭機はかなり頑丈ですね。
我が国から輸出してるマウザー砲を食らえば、爆撃機でも持たないのに。
二十発は食らってましたよ。今の攻撃は。」
「ノボトニー大尉、素晴らしい視力と観察眼ですね。
この距離で分りますか?」
「戦闘機パイロットは視力だけでは無いと思います。
第六感とも言える霊能力に近いカンが必須ですよ。
我が軍はまだ戦闘経験はありませんが、日本軍の戦訓を元に、
視力以上の戦闘カンを鍛えています。
万一ロ助と戦う日が来たらお見せ出きると確信していますよ。」
「ロシアもきな臭いですからね。日本が強敵だから未だにシナにも
欧州にも侵攻をかけてませんが、少しでも緊張を解くと・・。」
「攻めて来ますね。確実に。」
観戦を続ける彼等の目は真剣であった。
上空では大空をバックに日米双方の若者が死の舞踏を続けてた。
白い飛行機雲を両翼から引き、顔のホッペは垂れ下がり、眼球は眼骨の奥まで沈む。
好きな女性には絶対に見せたく無い様相となってるのだ。
しかし彼等にはそれに構う余裕も無い。
命を懸けた空中戦なのだから。
「隊長、敵の一番機はかなり腕が良いヤツみたいですよ。
先ほど4中隊の二番機に弾を食わせていました。」
「見てた・・。お前等、全員援護に回れ。
オレが食う・・。」
坂井は彼等にそう告げると、単機で敵に挑んで行く。
敵はF4Uコルセア。
初期からグアムに駐留してたが、最近ようやく出撃する様になったのだ。
パワーはあるが、ルーキーには取り扱いが難しい機体と見た。
坂井は愛機烈風21型甲(改マウザー砲搭載により形番が変わりました。)の翼を翻すと、
見事な機動でF4Uに接近。まずはルーキーと思しきコルセアを食う。
すると一番機が坂井に気づき急降下を仕掛けて来た。
F4Uに乗る彼の名はバグ・サザーランド大尉。
アメリカ本土の教育部隊に居たため、壊滅を免れたベテランであった。
「チクショー、グアム海戦にオレが居たら、あそこまで無様な敗北は無かっただろうに。
いいか、ルーキー諸君。
戦闘は食い易い敵から食うのだ。
諸君がベテランに挑んでも撃墜されて終わり。
まずはルーキーと思われる連中から食う。
間違ってもドッグファイトは挑むな。
二撃は考えず、一撃離脱に徹して戦え。」
バグは隊員を必死に指導してたが、彼等も戦闘に入ると頭に血が上ってしまい、
やがてアランに食われ二度と基地の土を踏む事が無かった。
バグは少しでも敵を撃墜しようと、相手を見定め攻撃を繰り返してた。
しかしアランもP47並に頑丈で防弾が行き届いてた。
それに加え恐ろしく弾道性の高いキャノンも装備。
ベテランのバグと言えども、アランは難敵であった。
そんな彼にも死の影が近づいてたとは気づかなかった・・。
「バグ隊長、助けてください。凄いアランに・・・。」
部下のマック少尉から救援の無電が入り、途絶したのだ。
「マック、返事しろ。マック・・。ダメか・・。」
眼下を見下ろすとマックと思しきF4Uが翼をへし折られ真っ逆さまに墜落する所を目撃。
バグはマックの仇を取ろうと、アランの元に急降下をかけた。
そして攻撃寸前・・。
アランは気づいてたのか、バグの射線をズラすためか、
翼を翻しドッグファイトを挑んで来たのだ。
「クッ、気づかれてたか。
それにしても良い機体だな。アランは。
ドッグファイトにも強そうだ。」
F4Uのコックピットでバグはアランを睨みつけ、視察を続けてた。
だが今までのアランとはケタが違うパイロットが操縦してる事まではバグも
気づいていなかったのだ。
「な、何だ。あのアランは・・。」
旋回半径の取り方が今まで見たアランとは違いすぎるのだ。
グイグイと左旋回でバグの乗るF4Uにアランは食い込む。
「グッ、不味い。このままでは食われる。」
バグは旋回を止めダイブで逃げようとした。
アランが狙ってたのはその旋回が止まる瞬間だったらしい。
彼は落ち着いて接近し、バグのコルセアの翼を一連射で砕いたのだ。
「チクショー、食われた。コチラバグ。脱出する。」
バグはSOSを送信するとすぐさまキャノピーを飛ばし脱出にかかった・・が。
敵は見逃してくれなかったらしい。
バグは次の射撃で愛機諸共サイパン沖に消えたのだから。
「フー、中々手強い敵だった。
コチラ坂井一番。敵の凄腕を撃墜。」
坂井は基地に通信を入れると次の敵を求め翼を翻して行く。
地上では、彼等の奮戦を手に汗握り独英の武官が見学してた。
「凄いドッグファイトだった。彼の名は何と言うのだ?」
「サブロー・サカイ中佐です。」
「おお、彼がエースの一人、サブロー・サカイか。
素晴らしいドッグファイトでした。今の映像も世界に公開しますよね。」
「もちろんです。」
彼等はエースのガンカメラに映る無慈悲な空中戦に息を呑み手に汗を握り締め
見れる日を楽しみにしてた。
バグ・サザーランド大尉、サイパン沖にて戦死。
坂井とサザーランドの戦いでした。
実史とは違い戦死させましたが、
凄腕パイロットは確実に仕留めるが日本軍の鉄則となっています。
烈風の形式を甲、乙で変更します。
三田様、ありがとうございました。




