表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
998/2051

第998話 カケラ争奪戦 イタリア3(3)

「さあ? 聞いたかもしれないけど忘れちゃったよ。それよりレールを狙ってるって事は、あいつ敵でいいんだよね。なら、あいつも殺すか」

 ゼノはボソリとそう呟いた。今にもこっちに襲い掛かってきそうだなと壮司は思った。壮司が少し緊張していると、スプリガンがゼノにこう言った。

「待て、そいつの相手は俺がする。お前の力を信用しないわけじゃないが、そいつとは何度か戦っている。だから、対処法やそいつの能力を俺は知っている。俺が相手をする方が都合がいい」

「そう? ・・・・・・・なら、そいつは君に任せるよ。俺は変わらずこっちの光導姫と守護者の相手をする。レールのことは――」

「・・・・・安心しろ。変わらず俺が守ってやる。それくらいの事は出来るつもりだ。信用しろとまでは言わないがな」

 ゼノの続くであろう言葉を予想し、影人はそう言葉を割り込ませた。影人の答えを聞いたゼノは、ぼんやりと小さく笑った。

「うん。ならそうしてよ。レールの事も変わらず君に任せた」

「・・・・・・・ふん。なら、任せられてやるよ」

 影人はゼノのどこか奇妙な信頼を受けながら、そう言葉を返した。影人はきっと気づいていないだろうが、少しだけ、ほんの少しだけ口角を上げていた。

「って事だ。お前の相手は俺がしてやる黒フード。いい加減にお前との戦いも飽きてきたが、怪人同士仲良くしてやるよ」

(俺は別に仲良くはごめんです・・・・・・・はあー、こいつとは何回も戦ってるけど、マジで正面から戦って勝てるイメージ湧かないわ・・・・・)

 影人にそう言われた壮司は、内心でげんなりとした。今の壮司も大概に反則気味の強さのはずなのだが、目の前の怪人はそんな壮司を上回る反則レベルの力の持ち主だ。壮司はその事をよく理解していた。

「さて、じゃあこっちも再開かな」

 ゼノは再びファレルナとエリアの方に顔を向けた。エリアは壮司の乱入のどさくさに、ファレルナの近くに移動していた。しかし、傷が痛むのか少し険しい顔を浮かべていた。

「『銃撃屋』さん。下がってください! 傷が深い。私は治癒の力を扱えません。ですから・・・・!」

「それは聞けない相談だな『聖女』。1流は1度受けた仕事は完遂する。守護者として、俺はお前を守る義務がある」

 ファレルナの願いをエリアは拒絶した。エリアは右手の銃をゼノに向けた。

「それよりもお前はあの闇人を浄化するのに集中しろ。レイゼロールは今のところ手出しをしてくる様子はない。先にこの闇人を浄化すれば戦況は好転する」

「っ・・・・・・分かりました。それが『銃撃屋』さんの覚悟であるというなら、私もその覚悟に応えます」

 ファレルナはエリアの言葉を受け、真剣な表情を浮かべ頷いた。そしてゼノの方を見つめ、何かを受け入れるように両手を大きく広げた。

「光よ、慈愛の御手となり彼の者を包んで」

 ファレルナがそう唱えると、ファレルナの背後の光が幾条かに分岐した。そして幾条かに分岐した光は、手の形になりゼノへと襲い掛かった。

「面倒くさそうだな・・・・・・」

 その光の手を見たゼノは目を細めそう呟いた。ファレルナの背後の光は依然輝きを放っている。それはゼノがまだ弱体化しているという事だ。むろん、それは壮司と対峙している影人も、カケラの気配を探っているレイゼロールもだが。

 ゼノは自分に向かって来る光の手を何とか避ける。弱体化しているので身体能力も落ちている。そのため、避けるのはけっこうギリギリだ。そしてそんなゼノを狙い、エリアは銃の引き金を何度か引いた。負傷しているのにもかかわらず、エリアの放った弾丸は正確な軌道を描き、ゼノへと向かっていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ