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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
984/2051

第984話 8つ目のカケラ(1)

「いや、まさかこの場所で君に会う事になるとは思わなかったよ、ソニアくん。全く意外という言葉に尽きる」

「あはは、私も影くんからロゼが東京にいるって聞かされた時は驚いたよ。本当にすごい偶然だよね♪」

 10月25日木曜日、午後7時過ぎ。喫茶店「しえら」店内。テーブル席で向かい会いながらロゼとソニアはそう言葉を交わした。ロゼは普段の格好のまま。ソニアは変装した姿だ。

「それも意外だったよ。まさか君と帰城くんが知り合いだったとは。帰城くんから君が会いたがっていると言われた時は驚いたものだ」

 ロゼは注文したホットのコーヒーを一口啜ると、ソニアにそう言った。2日ほど前にロゼがいつものように風洛高校に入り浸っていると、珍しい事に影人から声を掛けられた。そして、ソニアが連絡を取りたがっていると、ソニアのアドレスを教えて来たのだ。ロゼとソニアは連絡を取り合い、お互いに都合がいい日にちと時間を確認し合いながら、今日この時間に顔を合わせたのだ。ちなみに、この喫茶店はいい場所だと、ロゼは陽華や明夜に教えられていたのでここで話をしようと思い、顔合わせはこの場所になった。

「それなら私だって同じだよ。ロゼと知り合いって影くんから聞かされた時はびっくりしたんだから。まあ、影くんはロゼの知り合いって言われて嫌な顔してたけど」

「ははっ、まあ彼には色々と手伝ってもらったからね。無理もないよ」

 影人の事を話題にしながら、ソニアとロゼは楽しそうに笑った。あの前髪でも人を笑顔にさせられるのである。何という事だろうか。これは世紀の大発見である。あの前髪も、多少は人の役に立つようだ。まあ、本人はきっとというかほぼ間違いなく、「俺は道化とは違う。笑われるのは好きじゃない」と嫌そうな顔で言うだろうが。贅沢言ってんじゃねえ。

「それでロゼは何で東京にいるの? 私はもう発表したけど、活動拠点をここに移したからだけど。もちろん、言いたくなかったら言わなくて大丈夫だよ」

 ホットのアップルティーを飲みながら、ソニアはロゼにそう質問した。ソニアはちょうど昨日にその事をメディアを通して全世界に伝えた。世界の歌姫、ソニア・テレフレアの急なその発表に、ファンやマスコミなどは大いにざわついた。

「ああ、それなら答えようか。君は光導姫だから、言っても問題はないしね。私が東京に滞在している理由は、スプリガンに会うためだよ」

「っ! スプリガンに・・・・・・・・・?」

 ロゼが東京にいる理由。それを聞いたソニアは、1週間ほど前にスプリガンと戦った記憶を思い出した。そして、衝撃と訝しさが混じり合ったような表情を浮かべながら、そう言葉を漏らした。

「・・・・・・何でスプリガンに会いたいの?」

「なに、単純と言えば単純な動機さ。私が彼の本質に興味を抱いたからだよ。彼とはパリでたまたま遭遇してね。彼の中には真っ暗な闇が広がっている。それこそ深淵のような。私は、彼の本質が知りたいんだよ。闇を超えた先にある彼の本質を描きたい。そう。私は描きたいんだ。私は表現者の端くれだ。その本能をどうしても抑える事が出来ない。だから、だからだよ。私はその思いに従っているのさ」

 ロゼはどこか興奮したような、陶酔したような声音でソニアの問いにそう答えた。そしてこう話を続ける。

「私がスプリガンと会いたい理由は以上の通りだよ。東京にいるのは、この地が最もスプリガンが多く出没した場所だからだ。今のところ、彼に会える可能性が1番高いのはこの場所だからね」

「そうなんだ・・・・・なんかロゼらしい理由だね」

 ロゼの話を聞いたソニアは具体的に何と言葉を返したらいいか分からなかったので、自分が抱いた素直な感想を言葉にした。

「私も1週間くらい前に、ワシントンで彼と会ったよ。そして戦った。・・・・・・・・私が彼に抱いた印象は、ただ強いって印象。私は『光臨』しても、彼に全く歯が立たなかった」

 続けてソニアはロゼに自分がスプリガンと邂逅し戦ったという事を伝えた。

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