第956話 計画の全貌(4)
「だが、その光導姫と守護者に関しては1つマズイ所があるんだよな。レイゼロールの気配が漏れていないのに、レイゼロールの元に光導姫と守護者を派遣する。レイゼロールは間違いなくそこに違和感や不審感を抱く。実際、中国戦の時はあいつ不審がってたしな。俺はお前に合図を送るような行動は何も取ってないし証拠はないが、状況的には最悪俺がお前たちサイドの内通者だとバレるかもしれないぜ。まあ、俺はレイゼロールの命を助けたりして、行動で内通者じゃないって一応示したつもりだが」
「・・・・・そこに問題がある事は私も重々承知しています。私の方もラルバに守護者の派遣を要請する際に、闇の気配もないのにそこに守護者を派遣するという事にラルバが疑問を抱くという問題がありました。まあ、そこは何かこう神としての感知の力が成長した的な説明で誤魔化しましたが」
「えらくガバガバな説明だなおい・・・・・・・だがまあ、その辺りはお互いに上手くやるしかねえか」
影人は呆れたような表情を浮かべため息を吐いた。結局のところ、影人もソレイユもレイゼロールやラルバにバレないように何とか立ち回るしかないのだ。
「・・・・・・・・後の問題は、あいつだ。『フェルフィズの大鎌』を持つあの黒フードの男。俺以外のもう1人の正体不明。中国戦の時にまた現れやがった。しかも、何かパワーアップしてな」
影人は話題を変えた。未だに謎に包まれているもう1人の怪人。全てを殺す大鎌を携えたその人物について。
「それはあなたの視覚を通して私も見ていました。あの左手の黒いガントレットのようなものですね」
「ああ。アレを向けられた途端、とんでもなく体が重くなった。たぶん対象を設定して重力を掛けるみたいな能力だ。かなり厄介だぜ、アレは」
実際にその力を味わった影人は難しげな顔を浮かべそう言った。対象を動けなくしてそこに必殺の大鎌の一撃を叩き込む。その相性は凄まじいものだ。
「本当に、あの人物はいったい何者なんでしょうね・・・・・・・・」
「さあね。一応、私とレイゼロールはその『フェルフィズの大鎌』を持つ者とある人物が繋がっているんじゃないかって考えた事もあるけど・・・・・・証拠も何もないし、やっぱりその可能性は低いと私は思うのよね」
「「ある人物・・・・・・・・?」」
シェルディアの言葉を聞いた影人とソレイユは、同時にそう言葉を呟いた。
シェルディアの言葉を聞いた影人とソレイユは、同時にそう言葉を呟いた。
「シェルディア、そのある人物とはいったい誰なのです・・・・・?」
ソレイユがシェルディアにそう質問した。シェルディアは少しだけ言いにくそうな表情を浮かべた。
「もしかしたら、あなたはショックを受けるかもしれないけど、一応答えてあげるわ。あくまで可能性の話よ」
シェルディアはソレイユを気遣うようにそう前置きすると、その人物の名前を口にした。
「ラルバよ。あの『フェルフィズの大鎌』を持つ者と、ラルバは繋がっている可能性がある」
それはソレイユと幼馴染の男神の名であり、守護者の神の名前でもあった。




