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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
946/2051

第946話 集う十の闇(3)

「・・・・ここは?」

「・・・・ただの部屋だ。広めのな。重要な話をする時などにたまに使う。・・・・・・・・・・開けるぞ」

 レイゼロールはそう言うと扉を押した。そして、部屋の中へと入っていく。影人は内心で少しだけ緊張しながら自身も部屋の中へと歩を進めた。

 影人がその部屋に足を踏み入れた直後、 


 影人の喉元にナイフと手刀が両側面から突き付けられた。


「・・・・・・随分と手荒い挨拶だな」

 影人は特に驚いた様子もなく、チラリと自分の首元に視線を落としながらそう言葉を述べた。正直『十闇』、最上位闇人たちと会うと言われた時から、()()()()()()()は予想していた。

「黙れ。よくものうのうと己たちの前に顔を出せたものだな・・・・・・!」

「・・・・あなたと会うのは随分と久しぶりだ。ですが、まさかこういった形で会うとは思ってもいませんでしたよ・・・・・・!」

 ナイフを突きつけた闇人、『十闇』第9の闇『殺影さつよう』の殺花と、手刀を突きつけた闇人、『十闇』第2の闇『万能』のフェリートは、それぞれ殺意を隠さないままに影人にそう言葉をぶつけて来た。

「・・・・そうだな。お前と会うのはかなり久しぶりだぜ、フェリート。会ってなかった期間はバカンスにでも行ってやがったのか?」 

「私がいない間に冗談を言うようになったんですね、スプリガン。しかし、冗談のセンスは全くないようだ」

 フェリートの言葉通り、久しぶりに会った因縁ある闇人に影人はそんな言葉を返した。影人の言葉を聞いたフェリートは、つまらなさそうにそう言葉を放った。

「・・・・・・・・よせ。殺花、フェリート。どちらもその首元に突き付けているものをどけろ。この場でスプリガンを攻撃する事は、我が許さん」

 影人たちの方を振り返りながら、レイゼロールは殺花とフェリートにそう命令した。主人であるレイゼロールにそう言われた2人は、本当に渋々といった感じでナイフと手刀を引っ込めた。安全を確認した影人は、それ以上殺花とフェリートに構わずに部屋の中心部へと歩き始めた。

 正確に何畳くらいかは分からないが、部屋は広かった。正方形の形をしており、天井からは星の光のような幻想的な輝きを放つシャンデリアがぶら下がっている。その光のおかげで、広間や廊下よりは部屋の中がよく見えた。

「ははっ! マジでスプリガンが来やがったぜ! 面白え!」

「全く以て、生きるというのは先の分からない劇ですねー。本当に何が起きるか分からない。まあ、それが面白いんですが」

「よう、スプリガンさん。あんたと会うのはこれで2回目だな。まあ、フェリートが言ったみたいにこんな形で会うとは思ってなかったがよ」

「うっ、何か腹部が・・・・・・ああ、そういやぼかぁ彼に思いっきり腹殴られたんだった。あれは痛かったなー・・・・・・・・」

「あんたなんかまだましよ。私なんかボロ雑巾みたいになるまで全身ボコボコにされたんだから・・・・」

「ふん・・・・・・・・・」

「ふふっ、賑やかね。楽しくなって来たわ」

「へえ・・・・・・彼が・・・・」

 部屋の中央には大きな円卓があり、そこには影人が見覚えのある者たちが座っていた。その者たち、冥、クラウン、ゾルダート、響斬、キベリア、ダークレイ、シェルディア、ゼノはそれぞれそんな反応を示した。ただ、影人はゼノと邂逅したのが初めてだったので、ゼノだけは内心で「誰だこいつ」と思った。

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[一言] ボロ雑巾のきべりあ(笑)
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