第945話 集う十の闇(2)
「・・・・・・・・・・舐めるな、それくらいガキでも出来る。・・・・・で、これからどうするつもりだ? 俺をここに来させた理由を話してくれるんだろう。お前は昨日そう言った」
現れたレイゼロールに影人はそう質問を飛ばした。影人の言葉を受けたレイゼロールは、「分かっている」と言ってこう言葉を続けた。
「・・・・・・スプリガン。お前を今日呼んだのは、お前の事を奴らに紹介するためだ。一部の者・・・・あの時にあの場にいた、ダークレイ、シェルディア、キベリアたちは既に知っているようなものだがな」
「っ・・・・・! 奴ら・・・・・・・・最上位闇人どもか」
ダークレイやキベリアの名前が出た事によって、影人はレイゼロールが言う奴らが誰であるのかを察した。
「そうだ。お前は奴らに会わなければならない。我の最高戦力である十の闇・・・・『十闇』にな。我と行動を共にする以上、それは絶対だ」
レイゼロールは影人の推察を肯定した。そして、昨日と同じようにレイゼロールは闇の穴を創造した。
「この先は我の陣営その本拠地に続いている。そこに招かれるという意味を理解しろ。本当に貴様に覚悟があるというのならば、来い」
レイゼロールはそう言うと、先に闇の穴を潜って行った。レイゼロールにそう言われた影人は、
「・・・・・ふん、愚問だな。そんなものは、とっくに出来ている」
そう呟くと、自身も闇の穴の中に足を踏み入れた。
「ここは・・・・・・・・・・」
穴を潜った先に広がっていたのは、ぼんやりとした闇だった。影人は周囲を見渡した。所々に篝火が設置されているが、ここがどういう場所かは見えないし分からない。唯一、影人が後方を見てみると石の玉座だけがあった。
「・・・・・・広間とでも言えばいいか。そういう場所だ。とにかく、ここはいい。『十闇』が集っているのは別の場所だ。我の後について来い」
周囲を観察していた影人に、レイゼロールは軽くだがそう説明した。そして、レイゼロールはコツコツと靴の音を響かせながら正面の闇の中へと進んでいった。影人は素直にレイゼロールの後に着いていく。5メートルほど距離を空けながら。
ギィと音を立てながら、レイゼロールが大きなドアを開けた。開けた先に広がるのは同じくぼんやりとした暗闇。だが、先ほどの広間と同じように等間隔で篝火が設置されており、扉を開けた先が廊下であるという事が分かった。レイゼロールは廊下を右に曲がり進んでいく。当然、影人もその後に追従した。
「・・・・・ここだ」
それから5分ほどだろうか。幾度か廊下を曲がり、1階分ほどの階段をレイゼロールと影人は登った。その登った先の廊下を直進すると、下の階の広間と同じような大きさのドアが現れた。レイゼロールはそのドアの前で足を止めた。




