第932話 カケラ争奪戦 中国2(2)
「ああ・・・・・・・・好きにしろ。スプリガンの奴は私を攻撃して来やがった。何の迷いもなくな。この瞬間、奴は明確に私らの敵になった。今日からスプリガンは光導姫と守護者の敵だ」
菲はスプリガンを睨みつけながらそう宣言した。そう。いま菲が言ったように、この瞬間スプリガンは光導姫と守護者の敵になった。それがソレイユとラルバが決めた事だ。
おそらく、この事は今この瞬間も菲と葬武の視覚や聴覚を通して、この光景を見聞きしているソレイユとラルバが、明日にも世界中の光導姫や守護者たちに知らせるだろう。スプリガンは光導姫を攻撃し、自分たちの敵になったと。
「しかも、今の銃撃は普通に私を殺そうとしてやがったし。許せねえ。私を殺そうとしたツケは払ってもらうぜ」
菲は自分を問答無用で攻撃して来たスプリガンに怒りを抱いた。そして、菲は右手に持っていた短い黒い鞭を虚空に振るった。
「来い。私の兵隊ども。仕事の時間だぜ」
菲がどこか好戦的に見える笑みを浮かべそう呟くと、地面から5体の人形のようなものが生えて来た。人形は白色の人形が2体。黒い人形が2体。そして、白と黒が混じった人形が1体といった感じだ。
(何だ、あの奇妙な人形どもは・・・・・・?)
菲が召喚した人形を見た影人はそんな感想を抱いた。人形は一言で言うとデッサン人形のようなものであった。顔がなく関節のパーツが剥き出しの。白色の人形の1体は大きな鋼の盾を持っており、もう1体の白い人形は弓を携えている。黒い人形の1体は青龍刀を持っており、もう1体の黒い人形は偃月刀を装備していた。
そして黒と白が混じった最後の1体。この1体は他の人形たちと明らかに雰囲気が違った。まず体の大きさが明らかに他の4体よりも大きい。右手には大型の青龍刀を持っており、左手には大きな鋼の盾を装備している。更に背には2つの剣を背負っていた。
「いつもの陣形につけ。白兵1、白兵2。黒兵1、黒兵2。そして、頭兵」
菲がニヤリと笑いながら人形たちにそう指示する。すると、盾を持った白い人形が菲の近くに移動し、弓を装備した白い人形が菲の前に移動した。青龍刀を持った黒い人形と偃月刀を持った黒い人形は、弓を持った白い人形の右斜め前方と左斜め前方に移動した。最後に白と黒が混じった人形が弓を持った白い人形の前に移動した。
フォーメーションで表すならば、前衛が3、中衛が1、後衛が2(菲を含め)といった感じだ。
「おい『天虎』。しっかり暴れろよ。あのクソッタレの怪人野郎をぶっ倒せ」
「ふん。言われなくとも・・・・・そうするつもりだッ・・・・・・・・!」
葬武は菲の言葉にそう返すと、凄まじい踏み込みを行い影人の方へと向かって行った。その駆ける姿は葬武の2つ名である虎のようだった。
「・・・・来いよ守護者」
影人は冷たい笑みを浮かべると、右手の銃をナイフに変化させ自身も葬武に向かって駆けた。




