表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
910/2051

第910話 闇を助く影(1)

 レイゼロールよりも速く、ダークレイの元に奔った黒い影。その影は白い光の奔流に呑み込まれようとしているダークレイの前に立ち、ダークレイを左手で後方へと押した。

「え・・・・・・?」

「全てを砕け、我が拳。光を喰らえ」

 意味がわからないといった感じでダークレイが呆けたような顔を浮かべる。ダークレイの前に立った黒い影――鍔の長い帽子(いわゆるハット状の)を被り、黒衣の外套をはためかせながら、真っ黒な闇に染まった拳を、白い光へと放った。真っ黒に染まった拳は、高密度の『破壊』の力を宿している事を示していた。

 言葉により一撃の威力を強化された黒い拳が、浄化の力を宿した光の奔流と激突する。凄まじい力の白の光の奔流を拳1つでどうにかしようとする。本来ならば、そんな事は不可能だろう。

 だがその謎の影は、不可能を嘲笑うかのように自身の拳を押し込み続け、やがては白い光の奔流を『破壊』したのだった。

「「えっ・・・・・」」

 自分たちの最大浄化技である光の奔流が無効化されたという事実に、陽華と明夜は呆然とした。

「なっ・・・・」

「え、ええ・・・・・!?」

「っ・・・・!?」

「ふふ、面白くなってきたわね」

 呆然としたのはダークレイや2人だけではない。レイゼロールも、キベリアも、光司も呆然としたような顔になっていた。唯一、シェルディアだけは楽しそうに笑っていた。

「あ、あんたは・・・・・・・・」

 突如として自分を助けた影――いや、正確には黒衣の男の背を見つめながら、ダークレイはその目を見開いた。

「・・・・・・よう、この前ぶりだな。失礼女」

 男は少し首を動かしながら、チラリとその金の瞳をダークレイに向けた。その瞳の色、その声をダークレイは知っていた。いや、ダークレイだけではない。その男の事は、この場に存在する全ての者が知っていた。

「な、何で・・・・・・何で、あなたが・・・・・」

「いったい・・・・・どうして・・・・・・・・・」

 陽華と明夜が信じられないといった顔で、そう言葉を漏らす。そう2人には目の前の光景が信じられない。

 なぜならば、2人の最大の浄化技を無効化し、ダークレイを助けたその人物は、今までに何度も自分たちを助けてくれた人物だったからだ。

「「スプリガン・・・・・・・・」」

 陽華と明夜は、ダークレイを守るように自分たちの前に現れた黒衣の男の名を呟いた。











(・・・・・ありがとよ朝宮、月下。お前らのおかげで()()()()を演出できた。そして・・・・・・悪いな、色々と。心の内だけになっちまうが、謝罪をしておくぜ)

 陽華と明夜の渾身の攻撃を拳1つで無力化したスプリガン、もとい影人は2人を見つめながら内心そう呟いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ