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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
907/2051

第907話 光と闇の想い(4)

「だ、大丈夫、陽華? 私は右肩の辺りの骨を砕かれて話すのもやっとって感じだけど・・・・・」

「わ、私も左腕使えなくなったからかなりヤバい感じ・・・・でも、まだ戦えるのは戦えるよ、明夜」

 飛ばされた先には、左手で杖を持ちながら痛みに顔を歪ませた明夜がいた。明夜の問いかけに、陽華は立ち上がりながらそう答えを返した。

「レッドシャイン、ブルーシャイン。あんた達はよくやったわ。土壇場での『光臨』の取得、そこからの健闘・・・・・・・闇臨をした私にもここまで食らい付いた。私にまだこんな気持ちが残っていたのには驚いたけど・・・・私はあんた達に敬意を抱くわ」

 負傷した陽華と明夜に、離れた位置からダークレイがそう言葉を投げかけた。ダークレイ自身も自分がこんな言葉を2人に送るなんて思っていなかった。だが、気がつけばそんな言葉が半ば自然と出ていたのだ。

「だから、その意を表して2人同時に痛みを感じさせる間もなく死なせてあげる。闇臨した私の最大闇技で。闇技全解除」

 ダークレイは続けて2人にそう言うと、自分の全身と拳に纏われていた闇を解除した。

「翼よ、我が両手に纏え」

 ダークレイの片翼がその言葉を受け、1人でに動き出す。片翼はそれぞれパーツごとにダークレイの両手に合体していく。合体したその両手は、どこか凶々しかった。

「闇よ、翼となって我を支えろ」

 次にダークレイの背から闇色のエネルギーが両翼のように展開された。そしてダークレイは両手を陽華と明夜の方へと突き出した。まるで、狙いを定めるかのように。

「我が闇よ、全てを焦がせ。全てを消し去れ。全てを堕とせ。この手に集え、我が全ての闇よ」

 ダークレイがそう詠唱すると、ダークレイの両手に凄まじい闇が集まり始めた。大気が震えるほどの闇のエネルギーが。

「あ、あのエネルギーは・・・・・マ、マズイ・・・・・!」

 ダークレイに集まっていく闇の力を見た光司が、震えたような声でそう呟いた。未だに光司の体は全く動かない。光司はただ、この戦いを見守る事しか出来ていなかった。

(今までけっこう危ないところはあったが・・・・この攻撃が通れば本当にヤバいな。これが通りそうになった時が、朝宮と月下を助けるタイミングだな)

 同じくずっと戦いを見ていた影人もそんな事を思った。今までも助けに入るべきタイミングはあった。だが、影人はそうしなかった。もちろん()()()()()という事もある。しかし、それ以上にこの戦いの中で急激に成長している2人に、魂と命を削りあっている戦いに出来るだけ介入したくない。影人はそんな事を思っていた。

(さあ、どうする朝宮、月下。どちらも負傷したこのタイミングでこの攻撃。お前たちは一体どうする? 見せてみろよ。お前たちの決断を、力を、この俺に)

 金の瞳をジッと陽華と明夜に向けながら、2人を見守り続けて来た怪人は、内心でそう呟いた。

「み、明夜。左手は生きてるよね?」

「え、ええ。そういう陽華こそ、右手は使えるのよね?」

「うん。・・・・考えてる事は、同じみたいだね」

「全く以て、そうみたいね・・・・」

 ダークレイに集まっていく闇の力の凄まじさを感じながら、陽華と明夜はお互いにそう言葉を交わし合った。2人とも負傷した傷が痛むが、それでも何とか強気な顔を浮かべながら。

「なら、かましてやりましょ陽華。私たちのありったけの想いを・・・・・・・・!」

「そうだね・・・・! やろう明夜! これが、私たちの最後の攻撃・・・・・・・・!」

 2人は無理矢理に笑顔を浮かべると、それぞれ片手を前に、ダークレイの方に突き出した。陽華は右手を、明夜は左手を。

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