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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
905/2051

第905話 光と闇の想い(2)

「上!?」

「はあ!? 私が丹精込めて創った龍が気付かない内にやられた!?」

 水氷の龍が無力化されたタイミングで、ダークレイの居場所に気がついた陽華と明夜。陽華はハッとしたような顔を浮かべたが、明夜はいつも通りというべきか、どこかズレたような反応をした。

「ッ・・・・・闇技解除。闇技発動、ダークアンチェイン・セカンド」

 水氷の龍を無力化したダークレイは一瞬厳しいような顔を浮かべると、身体能力強化をバランスモードに戻した。

(やっぱり、セカンドのスピードモードはキツイわね。余りのスピードのせいで、単発的な使用しかできない。連続的に使えば、スピードに振り回されて体が壊れる)

 ダークレイが自身のモードをすぐに戻した理由はそれだった。闇臨状態の身体能力強化のスピード特化形態は神速の速度を発揮する事が可能だが、単発的にしか使用できないという弱点がある。

 一言で言ってしまえば強力過ぎるのだ。速度にダークレイの体がついてこない。闇人であり、闇臨したダークレイの肉体ですら、今の動きだけで全身の骨が軋んだ。

 ちなみにではあるが、ダークレイの動きを見切っていた、レイゼロール、シェルディア、影人の3者はダークレイと同等のスピードで連続的に動く事が可能だ。レイゼロールと影人に関しては、一言で言えば神力がそれ程までに強力だからであり、シェルディアに関して言えば、規格外の力を持つ怪物だからだ。

「フッ・・・・・!」

 ダークレイは再び今の自分が連続的に動ける最高速度になると、片翼を羽ばたかせ空中から地上にいる陽華へと強襲した。

「ッ!」

 ダークレイは上空から蹴りを放って来た。陽華はその蹴りをサイドステップで回避した。地上に降りたダークレイはそのまま腰だめに構えた右拳を放った。陽華はそれも体を逸らして回避した。

「はぁッ!」

 回避した陽華は、燃える左拳をダークレイに放った。ダークレイはその左拳を華麗に避け、陽華に闇纏う右拳を打つ。陽華はその拳をしゃがんで身を躱した。

「もらいッ!」

 身を屈めた陽華は右足でダークレイの足元に足払いを掛けた。急な足元への攻撃。この戦いでダークレイに陽華がやられた事だ。

「甘いわ」

 しかし、その程度の攻撃を受けるダークレイではない。ダークレイは両足で地を蹴り、足払いを回避した。

(地上から離れた! 空中で身動きは――!)

 陽華はダークレイのその行動をチャンスと捉え、燃える拳で昇拳を放とうとした。だが、ダークレイはそんな陽華の行動に対して小さな笑みを浮かべた。

「バカね。私にこれがあるのを忘れたの?」

 陽華がしゃがんだ姿勢から昇拳を放った瞬間に、ダークレイは片翼をはためかせた。その結果、陽華の昇拳はダークレイに当たらずに、決定的な隙を晒してしまった。

「っ!? しまっ――」

 陽華がそう言おうとした時には既に遅かった。ダークレイは片翼の勢いを使って空中で身を捻り、陽華の胴体に蹴りを叩き込んだ。

「ぐっ・・・・!?」

 まともにダークレイの蹴りを受けた陽華は苦痛に顔を歪め、その勢いで後ろに飛ばされた。

「闇技発動、ダークプリズムレイション」

 ダークレイは片翼を無数の闇の光へと変えた。無数の闇の光は陽華の方へと向かっていく。

「陽華! くっ、氷の――!」

 陽華のピンチを助けようと明夜が魔法を行使しようとする。だが、ダークレイはその明夜の行動を読んでいた。

「闇技発動、ダークアンチェイン・セカンド・スピードモード」

 ダークレイは再びスピード特化の形態へと切り替えた。そしてそのスピードを以て、一瞬で明夜の懐へと近づいた。

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