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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
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第90話 シェルディアの東京観光2(2)

「そういえば、シェルディアちゃん日本語とっても上手だね。観光に来たって言ってたから外国から来たんだよね?」

 身長差があるため仕方ないのだが、陽華は自分より身長の低いシェルディアを見下すような形になる。そして必然、シェルディアも陽華と明夜を見上げる形になる。

 両隣を陽華と明夜に挟まれながら、シェルディアは陽華の話に応えた。

「ええ、そうよ。言語については、私の言葉は万人に伝わるようになっている――としか言いようがないわね」

「?」

 シェルディアの言葉を聞いた陽華は頭にはてなマークを浮かべた。

「そういえば、シェルディアちゃんはどうしてこの公園に行きたいと思ったの? 言っちゃなんだけど、この辺り東京って言ってもけっこう田舎だし、公園なんか観光して楽しいかしら?」

 明夜が純粋な疑問をシェルディアにぶつけた。この年頃の少女ならば、東京の中心でショッピングでもしたほうが楽しいのではと明夜は思ったのだ。

「気分ね。少しゆっくりとしたい気分だったの。それに、観光の中心地より少し離れたところを回る・・・・・・・それも旅の醍醐味でしょう?」

「? まあ、そうかもね」

 まるで老人のようなシェルディアの物言いに、明夜は不思議に思いながらも頷く。確かにシェルディアの言うこともわからなくはないが、明夜にはいまいち実感としては理解できなかった。

「初めて見たときから思ってたけど、シェルディアちゃんの髪本当に綺麗だよね。肌もとっても白いし。いいなー、もし私が金髪に染めたとしても絶対にこんな風にはならないだろうし」

「天然のブロンドヘアーは初めて見たけど、陽華の言うとおり本当に綺麗ね。そう、まるで・・・・・・・・・・何なのかしら?」

「いや知らないよ!?」

 思わせぶりな態度から一転、このアホ具合である。明夜と幼馴染である陽華は、半ば条件反射の域でツッコミを入れた。

 明夜が唐突にポンコツを発揮するので陽華に身についた技術の1つである。陽華は心の底からツッコミの技術なんていらないと感じていた。本職のツッコミの方がこの陽華の心境を聞いたならば「ツッコミなめたらあかんでぇ!」と言われるだろうが、陽華は高校生なのでご容赦いただきたい次第である。

「ごめんね、シェルディアちゃん。このお姉ちゃんちょっと・・・・・・おバカさんなの」

「ちょっと陽華、誰がバカよ!」

 あははと苦笑いを浮かべながら、そう言った陽華に明夜は心外だとばかりに反論した。そのやり取りを見ていたシェルディアはくすくすと笑い声を上げた。

「あなたたち面白いわね。私、あなたたち好きだわ」

「ほら、よかったじゃない明夜! シェルディアちゃんこう言ってくれてるよ! 近所の小学生にも『私の方が賢い』ってバカにされてる明夜にとっては嬉しいよね!」

「陽華!? それは言わないでよ!」

 明夜が羞恥のため顔を赤く染める。

 文字通り、女子が3人集まればかしましいとはよく言ったものだ。明夜は他人に聞かれては恥ずかしい話をした幼馴染を許せず、シェルディアに陽華の恥ずかしい話を1つ暴露した。

「シェルディアちゃん。陽華はね、この前ニンニクましましのラーメンを3杯平らげたの。その後、とても女子高生とは思えないゲップをしてそのお店のお客さんや店員さん全員をドン引かせたのよ」

「ちょっと明夜!?」

 今度は陽華が顔を赤くさせ、明夜に抗議の声を上げた。それは陽華の最近の中で1番恥ずかしい出来事だった。

「お返しよ」

 明夜はペロリと舌を出して、陽華を見る。その仕草に陽華は「む、むぅ~!」と唸るばかりで何も言い返せなかった。

「ふふっ」

 そんな2人のやり取りを見て、再びシェルディアが笑う。そんな調子で3人はのんびりと公園を目指した。

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