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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
899/2051

第899話 覚醒する光(5)

「ぶっ・・・・・!?」

 陽華の一撃をモロに顔面に受けたダークレイは突き抜けるような衝撃と浄化の力を感じながら、後方へと飛ばされた。ダークレイは大ダメージを受けた。

「ぐっ・・・・・!?」

 一方、ダークレイと同じく一撃を顔面に受けた陽華。激しい衝撃と鋭い痛みが陽華を襲うが、陽華は明夜が施してくれた水のベールが流動し、間一髪でクッションのようになってくれたおかげで、ダークレイと同程度のダメージとはならなかった。

「大丈夫、陽華?」

「う、うん。明夜のおかげで・・・・それでもすっごい衝撃だったけど」

 後方に飛ばされた陽華に、明夜がそう問いかける。陽華は衝撃で切れた口の中からペッと血を吐き出しながらも、軽い笑みを浮かべた。

「ならよかったわ。さて、向こうは陽華の一撃をモロに受けたわけだけど・・・・・・・どうかしらね」

「分からない。でも、手応えはあったよ」

 陽華は自分の右手を見つめながらそう答えた。ガントレットはもう銀色の通常の形態に戻っているが、確かに陽華は自分の攻撃が通ったと感じていた。

「うっ・・・・・・・」

 そのダークレイは、ヨロヨロと立ちあがろうとするが、体が今の一撃の衝撃に震え上手く立ち上がれなかった。鼻も折れているのか黒い血が止めどなく流れ落ちる。陽華の一撃は間違いなくダークレイに響いていた。

(く、くそっ・・・・強烈な一撃をくらってしまった。血も更に流れた。浄化の力も受けて、闇の力も弱まった・・・・・この光導姫ども、まさか『光臨』しただけでここまで強くなるなんて・・・・・・・・!)

 ダークレイは無理矢理に気力を振り絞って、今度は立つ事に成功した。そして、ダークレイは今の陽華と明夜の強さを認めた。今のこの2人は、自分を浄化できるほどの力を持っていると。

(時間はたぶんまだ3分と少しくらいしか経っていない。この調子だと、私は残りの制限時間内に浄化される可能性もある。・・・・・・ちっ、仕方がない。なら、私も()()をするしかないみたいね)

 ダークレイはある決意をした。使う必要はないと考えていた。しかし、このままでは敗北してしまうかもしれない。だから、ダークレイは自分の切り札を切る決意をした。

「・・・・・全闇技解除」

 立ち上がったダークレイはまず自身がいま発動している闇技を全て解除した。これにより、ダークレイの身体強化が切れる。これはいわば準備だ。

「・・・・・あんた達、確かレッドシャインとブルーシャインって名前だったわよね。認める、あんた達は強い」

 ダークレイは陽華と明夜に目を向けながらそう言葉を投げかけた。

「ッ? きゅ、急になに・・・・・?」

「さあ・・・・・・漫画なんかだと敵が力を認めてくる展開は熱いけど、現実だと少し不気味ね」

 そう言葉を送られた陽華と明夜は、訝しげな目をダークレイに向けた。ダークレイの意図が2人には分からない。

「別に深い意味はないわ。ただ、刻もうと思っただけ。あんた達の名前を私の中に。・・・・・・私と対等に戦い、そして屠られた光導姫としてね」

 ダークレイは右手で自分の折れた鼻を元の位置に戻す。グシャリという嫌な音と尋常ではない痛みがダークレイを襲うが、ダークレイはそれを無視した。

 そして、ダークレイはある言葉を唱え始めた。

「――我は闇を臨む。力の全てを解放し、光を闇に塗り潰す力を」

 ダークレイがそう唱えると、ダークレイに闇色のオーラが纏われた。真っ黒な光すら通さぬような黒いオーラが。それは先ほどのダークレイの身体強化のオーラとは明らかに違っていた。

「「ッ!?」」

 その言葉を聞いた陽華と明夜の顔色が変わる。驚きと信じられないといった表情に。

 それも無理なからぬ事だろう。なぜなら、その詠唱は先ほど2人が唱えた言葉とほとんど同じだったからだ。

 そんな事はありえない。ダークレイは闇人のはず。そんな言葉が陽華と明夜の中には浮かんだが、現実はまるで2人のその考えを嘲笑うかのように、その決定的な言葉を2人の耳へと届けた。


闇臨あんりん


 次の瞬間、闇色の光が世界を黒く染め上げた。

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― 新着の感想 ―
[一言] ま、元光導姫だったんだ。 光導姫の覚醒状態が光臨なら、 闇導く姫の覚醒はその逆やわな。 はてさて、光臨して圧倒できたけど、 同レベル、それ以上に強化されたら……… 勝てるかのかな?
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