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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
895/2051

第895話 覚醒する光(1)

「くっ・・・・・!?」

 陽華と明夜から発せられた世界を白に染め上げんばかりの光に、ダークレイは目を細めた。

(ッ・・・・!? この光は・・・・・・・!)

 その光に目を細めたのはダークレイだけではなかった。戦いを観察していたレイゼロールも、

「ま、眩しい!」

「へえ、至ったの陽華、明夜。その領域に。ふふっ、これは一段と面白くなってきたわね」

 キベリアとシェルディアも、

『「光臨」の光!? ま、まさかこの状況で、「光臨」を会得したというのですか!? 陽華、明夜!』

(これは『提督』が使ってた・・・・・はっ、流石は物語の主人公みたいな奴らだぜ。ヒロイックなタイミングで覚醒するなんてな)

 ソレイユと影人も、

「っ!? ふ、2人とも・・・・・・まさか・・・・・」

 地面に倒れている光司も、陽華と明夜の放つ輝きに目を細めた。

「「・・・・・・・・・」」

 光が収まると、そこには少し様子が変わった陽華と明夜がいた。

 陽華は変身時は赤やピンク、橙色といった暖色系を基調としたコスチュームを身に纏い、主武装は両手のガントレットを装着しているが、コスチュームは所々に金の装飾が刻まれ、ガントレットも手の甲の部分に何か円形の装置のようなものがついていた。

 明夜は変身時は青や水色、紫といった寒色系を基調としたコスチュームを見に纏い、主武装は魔法を扱う杖だったが、陽華と同じようにコスチュームは所々に金の装飾が刻まれ、杖はクリスタルブルーの装飾が施されていた。

「す、すごいや明夜。何か力が溢れて来る。凄い、凄い力が・・・・・・!」

「ええ。ハチャメチャに溢れて来るわね・・・・・! 今なら、誰にも負けない気分だわ!」

 2人は自信に満ち溢れたような表情でそう呟いた。先ほどとは比べものにならない力を2人は感じていた。

「でも陽華、確か『光臨』の状態は・・・・・」

「うん、10分が限界だったね。だから、その間にこの人を浄化しなくちゃ!」 

 一瞬だけ浮かれていた明夜と陽華だったが、しかしすぐに厳しい目をダークレイに向け直した。夏の研修の講義で習った『光臨』の限界時間は10分。それを超えれば、強制的に2人の変身は解除されてしまう。2人はその時間までにダークレイに勝たなければならないのだ。

「ッ・・・・・『光臨』したからって、あんた達じゃ私には届かないわ!」

 ダークレイは気を取り直して2人に突撃した。『光臨』した場合のセオリーは時間を出来るだけ稼ぐ事。そうすれば、光導姫は途中で光臨形態を解かない限り、10分後には完全に無力になる。もちろん、元光導姫であるダークレイはその事をよく知っていた。

(『光臨』した事には確かに驚いたけど、元々こいつらは大した強さじゃない。そんな奴らが『光臨』したところで、たかが知れてるわ・・・・・・・・!)

 だが、ダークレイは敢えてその定石を無視した。力でねじ伏せれば『光臨』だろうが関係ない。そして、ダークレイは自分の戦闘力に自信を持っていた。

「明夜! 援護お願いね!」

「任せなさい! でもその前にこれ掛けておいてあげるわ。水のベールよ、この者に纏え。この者に水の加護を!」

 明夜が杖と左手を陽華に向けると、陽華の周囲の空間に水が漂った。その水は線状になり、陽華の体を中心に×印のようにクロス状に交差した。

「何度かだけ相手の打撃の威力を軽減してくれるわ! 臆さずやっちゃいなさい陽華!」

「ありがと! じゃ、行ってくる!」

 陽華は明夜に感謝の言葉を述べると、自分もダークレイに向かって突撃した。

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