第875話 闇導姫、襲撃(2)
「チッ、つまらない事を・・・・!」
その決定が不服であるかのように、ダークレイは舌打ちをした。
「・・・・・そう憤るな。確かにゼノがいつ戻ってくるか分からない以上、お前という戦力を放っておくのは少々もったいないと我も感じていた。だから、お前にはもう1つの目的の方を遂行してもらおう。こちらもそろそろ本格的に手を打っておきたい。まあ、問題はいくつかあるがそれは我がどうにかしよう」
「は? もう1つの目的ですって? 何よそれは?」
レイゼロールが言葉に出したもう1つの目的。それがいったい何なのか分からないダークレイは、そう聞き返した。
「忘れたか? お前たちを呼び戻した目的はスプリガンだけではない。お前たちを呼び戻したもう1つの理由、それは・・・・・・・・目障りな光導姫を2人始末する事だ」
レイゼロールは冷たい口調でダークレイに改めてそのもう1つの目的を伝えた。
「ほれ、嬢ちゃん。何かお菓子入れな。100円までなら奢ってやるぜ」
「あのねえ、影人。私、子供じゃないのよ?」
10月1日月曜日、午後5時過ぎ。暦が10月を刻み始め、ようやく秋を感じるようになり始めた頃、賑わった通りの裏路地にある駄菓子屋。そこにいた制服姿の影人とシェルディアはそんな言葉を交わしていた。
「全くあなたくらいよ。私が何者かを知ってなお、そんな事を言ってくるのは」
「別に子供扱いしてるつもりはないんだけどな。俺はただ、今まで通り普通に嬢ちゃんに接してるだけさ。でも、不快だったのなら謝るよ」
少し呆れたような顔を浮かべているシェルディアに、影人はそう言葉を述べた。その言葉に嘘はない。シェルディアの正体を知って子供扱い出来る者などこの世にはいない気がする。というか出来ないだろう。
「ふふっ、ごめんなさい。別に不快とかではないの。ただ、少し言ってみたかっただけよ。あなたの今の言葉が子供扱いではなくて、優しだというのはちゃんと分かっているから」
呆れたような顔を浮かべていたシェルディアは、影人の言葉を聞くと悪戯っぽい笑みを浮かべた。どうやら、影人少しからかわれたようだ。
「ったく、嬢ちゃんそういうとこあるよな・・・・・悪戯ぐせというか魔性の女というか。まあ、嬢ちゃんは別の意味で魔性の女だけどさ」
「あら、それは上手いけど少し失礼じゃないかしら?」
「別に貶すような意味合いは何もないよ。ほら、嬢ちゃんも早く選びな。俺はもう大体決めたからさ。もう1度言うけど、俺の奢りは100円までだから、その範囲で決めるんだぜ」
影人は小さなカゴにヤ◯グドーナツを入れながら、シェルディアにそう促した。これで影人は粗方買いたいものはカゴに入れ終わった。後はレジ横にあるき◯こ棒を買えば終了だ。
「少し待ってちょうだい。私、駄菓子というのを買うのは初めてだから、どれを選んでいいのか分からないのよ」
「ああ、そういえばここ入る前にそんな事言ってたな。分かった、なら俺も選ぶの手伝うよ」
珍しく困った顔を浮かべたシェルディアに、影人はそう言いながらどれがどういった駄菓子かという事を教えていった。




