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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
858/2051

第858話 楽しめ文化祭(3)

「はい失礼しまーす! ご注文は何になさいますか・・・・・・・って早川さんだ! あー、やっぱりいいなー早川さん。早川さんがこの衣装着てたら絶対に格好よかったよ」

 注文を取りに来た執事服風の衣装を纏った女子生徒は、暁理の姿を見るとそんな言葉を述べた。たぶん暁理の知り合いか何かだろう。

「あはは、ありがとう。確かに僕もちょっとは着てみたかったかな。ねえ樫谷かしたにさん、この喫茶で1番高いメニューって何かな?」

DX(デラックス)パフェかな。お値段1500円!」

「あ、じゃあそれお願い」

 暁理は笑顔で女子生徒にそのDXパフェなるものを注文した。注文を受けた女子生徒は「本当? ありがとうー! DXパフェ1つ入りましたー!」と言って去っていった。

「ぐ、こんなんで1500円も飛ぶのかよ・・・・・泣きそうだぜ・・・・」

 バイトもしていない男子高校生にとって、1500円は大金である。影人は自分のサイフの中身が寂しくなるのを悲しみ、大きくため息を吐いた。











「いやー、パフェ美味しかったね。けっこうボリュームあったから、カロリーは気になるけど良かったよ」

「うん、美味しかったわね」

「そいつはようござんしたね・・・・・・・・・」

 あべこべ喫茶を出た暁理、シェルディア、影人の3人はそれぞれそんな感想を漏らした。唯一、影人だけが恨み言のような事を呟いていたが、まあ前髪の恨み言なんていうのは無視されて当然のものなので、どうでもいいだろう。

「次は4組の教室迷路かー。僕、実はまあまあ楽しみなんだよね。迷路って何かワクワクするし」

「ガキかよ・・・・・・と言いたい所だが、分からんでもない。迷路ってのは、中々に気持ちを熱くさせる場所だよな」

「うわ、影人に同意されちゃったよ・・・・・」

「おいこら暁理てめえ。それはどういう意味だ」

「ふふふっ」

 すっかりいつも通りのやり取りをしながら、影人たちは4組のドアを開けた。シェルディアは影人と暁理のやり取りを見て微笑んでいる。

「いらっしゃい! 4組の教室迷路にようこそ!」

 4組に入ると、冒険家風というか探検家風の衣装の男子生徒が影人たちを出迎えてくれた。

「3名様ですね! 当クラスは教室全体が迷路になっています。お客様にはこの迷路からいかに速く出られるかを試していただきます。好タイムを出せた方には、ささやかではありますが景品もございますのでぜひ頑張っていただければと! それでは迷路スタートです! 入り口は2つありますので、お好きな方からどうぞ!」

 男子生徒は迷路に関する軽い説明を述べ終わると、ダンボールで仕切られた2つの入り口を指差した。入り口は2つだが、おそらくゴールは1つのタイプだろう。

「ふっ、『前人未到の単独者(例によって今思いついた)』と呼ばれた俺(呼ばれてない)の踏破ショーをまさかこんな所で開催する事になるとはな。全く、人生ってやつは不思議だぜ」

「不思議なのは君の頭だろ・・・・・・・」

 またもや自身の抑えられぬ衝動を露わにした影人に対して暁理はドン引きした。だが、影人に対してドン引きしまくっていては体が持たないので、暁理は気分を切り替えた。

「シェルディアちゃんはどっちから入る?」

「そうね、なら私は左の方にするわ」

「そっか。なら僕もそっちにしよ。影人は?」

「俺は右だ。単独者っていうのは群れないものだぜ」

「あっそ。じゃ、ゴールで会おう」

 こうして、シェルディアと暁理は左の入り口に、影人は右の入り口に入った。

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