表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
850/2051

第850話 文化祭は賑やかに(3)

「・・・・すいません、じゃあ休憩もらいますね」

「りょ、了解〜! じゃ、また2時間後にお願いね帰城くん」

 午後12時半過ぎ。影人は給仕係の女子生徒にそんな言葉を告げた。同情すべき事に影人からそう話しかけられた女子生徒は、少し引いたような顔を浮かべていた。

 ちなみに、影人が真夏をけしかけた事によって、光司はすぐに真夏に連行されていったらしい。去り際に「ま、待ってください会長! 僕はまだ帰城くんと――!」的な事を叫んでいたと給仕係から聞いたが、ざまあないと影人は感じた。自分の孤独を愛する心は伊達ではない。

「さて、嬢ちゃんはもう来てるのか? 来てないとしたら、校門で待っておいた方がいいな」

 10分後、空き教室で一旦制服に着替え直した影人は、サイフやスマホといった必要な物だけをズボンのポケットに突っ込みながら校舎内を歩いていた。文化祭初日という事もあって、校舎内は尋常ではなく賑やかだ。いや賑やかというかアホみたいにうるさい。

「まあ、このアホ騒ぎは若者の特権みたいな所はあるからな・・・・・・・・それに今日は騒いでもいい日だ。存分に楽しめよ若人どもよ」

 フッといつも通りのキショイ笑みを浮かべながら何か意味不明な事を呟く前髪。何視点で何様なのか。お前も一応同年代である。その言葉を言うには歳が死ぬほど合ってねえ。老けてから言えと地団駄を踏みながら言いたい。

(そういや、『芸術家』はどうしてるんだろうな。まあ案内した時に文化祭を見て回るって言ってたから、今頃楽しんでるか。文化祭が終わればあいつも風洛から出て行くし、ようやく少しは気が楽になるぜ)

 昇降口で上履きから自分の靴に履き替えながら、影人は適当にそんな事を考えた。しばらく自分の近くにいたロゼだが、何とか正体はバレなかった。願う事ならさっさとフランスに帰ってほしいが、ロゼの目的は自分なので、まだしばらくは日本にいるつもりだろう。

「おっ、出店けっこうあるな。昼飯まだだしまた後で何か食うか」

 外に出た影人は生徒たちが有志でやっている食べ物の屋台を軽く見渡した。フランクルトもある。あれだけは絶対に食べよう。

「さて、嬢ちゃんは・・・・・・まだかな」

 校門前に辿り着いた影人は周囲を見た。しかし、シェルディアの姿は見えない。シェルディアの外見は目立っているのでいればすぐに分かる。

 それから10分ほど、影人は校門の近くで待っていた。すると、見知った少女が校門に現れた。

「あら影人。私を待っていてくれたの? だとしたら、とても嬉しいわ」

「よう嬢ちゃん。ああ一応そうだが・・・・・・・・嬢ちゃん、今日雰囲気がちょっと違うな」

 現れたのはシェルディアで、影人は軽く右手を上げながら挨拶をしたが、シェルディアが普段と違う格好をしている事に気がついた。

 まず、髪型が違う。シェルディアはいつも自分の髪を緩いツインテールに結っているが、今日は右側だけの緩めのサイドテールだ。影人がシェルディアの髪型がツインテール以外になったのを見たのはこれで3度目だった(1度目は初めに出会った時に影人の家の風呂に入った後のストレートヘアー。2度目は影人の母親の料理を手伝っていた時の、ポニーテール)。

 そして、服装もいつもの豪奢なゴシック服とは違った。シェルディアは普段黒を基調としたゴシック服を着ている。しかし、今日は黒いワンピースを着ていた。スカートの裾には白いフリルがあしらわれている。何だかいつもより大人っぽい格好だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 芸術家のフラグが(笑)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ