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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
846/2051

第846話 文化祭、開幕(3)

「じゃ、男子はこっち半分で着替えて、女子はこっちで着替えてね。あ、男子は覗いたら袋叩きにして窓から捨てるから。そのつもりでよろしくー」

 体育館から戻って来た影人は自分のクラスである2年7組に戻って来ていた。影人たちはコスプレ喫茶なので着替えをしなくてはならない。ゆえに、今からクラスメイト全員お着替えタイムというわけだ。

「怖ぇ・・・・・」

「あの顔マジだぜ・・・・・・・・」

「ウチのクラスの女子は恐ろしいな・・・・」

 シャッと教室の真ん中のカーテンをしきった女子生徒の声を聞いた2年7組の男子生徒は、震えたように或いは恐怖したようにそんな声を漏らした。

「ま、いいや。さっさと着替えようぜ。お前何の衣装持って来た?」

「ドラゴ◯ボールの道着。俺がスーパーサ◯ヤ人だぜ」

「それはワクワクすんな。ちなみに俺は鬼◯の刃の隊服だ」

 男子生徒たちはそんな会話を交わしながらさっさと制服を脱いで各自が持って来た衣装に着替えている。影人も制服を脱ぎ、紙袋に入れていた()()()()を取り出した。

(何だかんだ結構高かったよなこれ・・・・・・水錫さんが値引きしてくれて本当よかったぜ。また今度プラモ買いに行かねえとな)

 影人はその衣装を見ながら、仕入れから値引きまでしてくれた水錫に感謝すると持って来た衣装に着替え始めた。

「男子全員着替えたー? 女子は全員着替え終わったけど」

「おー大丈夫だ。こっちも全員着替え終わってる」

 15分後。カーテンの向こうから確認を取る声が聞こえた。その声に、1人の男子生徒が周囲を軽く見回し代表するかのように女子たちにそう返事をした。

「よーし、ならお互いお披露目!」

 先ほどカーテンを閉めた女子生徒がシャッと今度はカーテンを開ける。すると、そこには様々なアニメや漫画、メイドやアイドルなどの衣装に身を包んだ女子生徒たちの姿があった。

「へえ、こいつは中々・・・・・」

「だな。馬子にも衣装・・・・・って痛え!?」

「失礼な事言うからよニセ悟◯。全く、これだからウチのクラスの男子は・・・・・・・」

 ドラゴ◯ボールの道着を来た男子生徒が、婦警の格好をした女子生徒から偽物の手錠を投げつけられる。見ようによっては何とも平和な光景であるし、何とも痛そうな光景であった。

「ま、男子は大方予想通りというかテンプレの・・・・・・・・・って、え・・・・・?」

 メイドの格好をした女子生徒が衣装に着替えた男子生徒たちを見回す。そこには女子同様様々なアニメや漫画の衣装に身を包んだ男子生徒たちがいた。だが、その女子生徒はとあるコスプレをした人物に目を奪われた。

「・・・・・・・・・・」

 その男子生徒は口を真一文字に結んでいた。顔の上半分は見えない。なぜなら顔の上半分は仮面に覆われているからだ。頭には角がついたようなヘルメットを被っている。

 上半身は前掛けのような小さなマントを羽織っており、胸部には何かの紋章が金色で印刷されている。それ以外は黒色だが、マントの内側は緑だ。マントの下の服の色は赤。両手には白い手袋を嵌めている。

 下半身は腰に白いベルトを巻いており、右腰に長く白い筒のようなものが装着されていた。見る人が見ればそれが何か分かるのだが、女子生徒はそれが銃だとは知らなかった。ズボンの色も赤で、足元は白いブーツを着用していた。

 その格好を一言で言うのならば、要は赤い◯星であった。

「え? 誰あれ・・・・・?」

「何かウチのクラスにシ◯アいるんだけど・・・・・」

「ってか、不審者にしか見えないんだけど・・・・」

 ザワザワと女子生徒たちがざわめき始めた。それに感化されたように、男子生徒もシ◯アのコスプレをしている男子生徒を見つめる。

「おおう、勇者がいやがるぜ・・・・・」

「すげえ・・・・・・・・・流石にコスプレならなんでもありといえど、俺あの格好は無理だわ」

「てかあれ誰だ・・・・・?」

 女子生徒が不審な目をシ◯アに向けているのに対し、男子生徒たちはどこか尊敬に近いような視線をシ◯アに向けていた。

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