第837話 協力者、シェルディア(3)
「私に聞きたい事ですか? ・・・・わかりました。あなたにはもうほとんどの事は話しましたが、そう言うのであれば。では、影人。先にあなただけを戻しますね」
「待てよ。そう言う事なら俺も残――」
まだシェルディアに不信感を持っている影人は、シェルディアとソレイユを2人きりにするのはあまり良くないと思いそう言おうとしたが、ソレイユの時と同じように、シェルディアがこう言葉を割り込ませてきた。
「大丈夫よ、影人。ソレイユには何もしないから。それに、この聞きたい事は少しプライベートな事なの。だから、お願い。2人にさせてちょうだいな」
「っ・・・・・・・わ、分かった」
そう言われてしまえば飲み込むしかない。不承不承ではあるが、影人はその言葉を了解した。
「心配ありがとうございます。ですが、シェルディアの言うように大丈夫ですよ。さっきも言いましたが、彼女の性格は一応知っていますから」
「べ、別に心配じゃねえよ。勘違いするな。チッ、ならもう何も言わねえ。さっさと送ってくれ」
どこか照れ隠しをするかのように影人は顔を背けた。どうでもいいが、男の、特に前髪野郎のツンデレなど需要がなさすぎる。需要供給の法則が崩壊するレベルでない。ダストシュート一直線である。
「じゃあさようなら、影人」
「また会いましょう影人。では転移を始めます」
シェルディアはパタパタと軽く手を振り、ソレイユも影人に別れの言葉を口にする。そして、ソレイユは影人に左手を向けた。
すると、影人の体が光の粒子に包まれ始め、やがては影人も光の粒子となりこの場から影人は姿を消したのだった。
「さて、これで2人きりですね。シェルディア、私に聞きたい事とはいったい何ですか?」
影人を地上に送ったソレイユは、シェルディアに質問を促した。
「ええ、別に大した事じゃないの。ちょっとした確認をしたいだけ」
シェルディアはそう前置きすると、その質問を口にした。
「ねえ、ソレイユ。影人の、スプリガンの力は・・・・・・・あなたの神力そのものではないの? 昨日、影人と戦って私はそう思ったわ」
「ッ・・・・・・・・・!?」
普通の者ならば、シェルディアのその言葉の意味は理解できないかもしれない。だが、その言葉の意味が分かるソレイユは、驚いた顔になった。
「・・・・・・・・・・・全く、あなたの鋭さには驚かされます。1度影人と戦っただけで、よくそこまで分かりましたね」
「そう思ったのは、今日あなたに直接会った事も要因よ。あなた上手くカモフラージュしているけど、力が著しく衰えているわ。まるで、誰かに神力を奪われたかのように」
どこか清々しいような顔になりながらそう呟いたソレイユに、シェルディアはそう言葉を付け加えた。
「それもバレていましたか。なら、他の神に会うときはもっと気をつけなければなりませんね。・・・・・・・・・・あなたの指摘通りですよ、シェルディア。スプリガンの力は、私の神力そのものです。私は、影人にスプリガンの力として、私の神としての力の約6割を与えました」
ソレイユはシェルディアを見つめながら、自分が隠していたもう1つの秘密を打ち明けた。




