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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
779/2051

第779話 人竜の力(1)

「――あら。ゼルザディルムとロドルレイニ、人竜じんりゅう形態に姿を変えたのね」

 上空でのスプリガンと2竜の戦いを、地上から見上げて観察していたシェルディアが意外そうにそんな言葉を漏らした。

 ちなみに、シェルディアは2竜の形態の事を「人竜形態」と呼んでいるが、これはシェルディアだけの呼び方だ。シェルディアの元いた世界に人間はいない。自分のように、人間に見た目が限りなく似た種族は存在していたが。こちらに来て人間を知る前は、シェルディアも2竜と同じように「変化」と呼んでいたが、人間の存在を知ってからは竜の形態変化の事を、自分の中で人竜形態という呼称に変えたというだけだ。

(確かに、スプリガンのあの速さならばゼルザディルムとロドルレイニが攻撃を当てる事は難しいものね。逆に『破壊』の力を扱えるスプリガンからしてみれば、竜の鱗の硬さは意味を持たない。更に言うなら、竜族の超再生すら超える一撃必殺の技をスプリガンは持っているかもしれない。だとしても・・・・・・・・・・ふふっ、あの2竜に姿を変えさせる。その決断をさせた。それがどれ程の事か、きっとあなたには分からないでしょうね、スプリガン)

 星舞う真紅の満月輝く自分の『世界』の空を見上げながら、シェルディアはどこか称えるような笑みを浮かべる。シェルディアの元いた世界でも伝説と語り継がれていたあの竜王たちに、「形態を変えた方が良い」、そう思わせたこと自体がもはや偉業なのだとシェルディアは知っているからだ。

「・・・・・ここからが本当の戦いね。スプリガン、あなたは知るでしょう。その竜王たちの真の強さを、真の暴力を。竜とは自然の暴力そのもの。ゼルザディルムとロドルレイニは、それを最も体現した2竜。私でさえ、あの2竜を殺すのには尋常ではない苦労をした。・・・・・・・あなたがその2竜を倒す事が出来るか、ここからしっかりと見ていてあげるわ」

 一度2体の竜王を殺した絶対強者たる吸血鬼は、目を細めてそう呟いた。











(こいつら、人間になれるのか・・・・・・・!?)

 人間と同じような姿になったゼルザディルムとロドルレイニを見た影人は内心驚愕した。まさか竜が自分と同じ人間に姿を変えるとは。流石にそれは予想していなかった。

「驚いているな、スプリガンとやら。我らの姿が貴様と同じような姿に変化した事に」

 人間の男に姿を変えた方――ゼルザディルムが少しだけ広角を上げてそう言葉を発した。身長はおそらく180センチほど。顔は彫刻のように整っており、瞳の色は竜形態の時と同じく赤で、髪は短髪の黒色。黒のノースリーブのインナーのような服を上半身に纏っており、そこから覗く腕はがっしりとしており、肌は浅黒い。下半身は赤い布のダボついたようなズボンを履いている。足は裸足であった。

「驚くのも無理はないでしょう。竜族が変化へんげする事は極めて珍しい。私が生きている間も、変化をしたのは数えるほどです」

 ゼルザディルムの言葉に反応するように、人間の女に姿を変えた方――ロドルレイニがそんな言葉を呟いた。身長は165センチほどだろうか。女性にしては少しその身長が高めだ。顔は凄まじい美人顔で、こちらも瞳の色は赤だ。髪は長く白銀。装束は白い着流しのようなものを纏っている。足元は裸足だ。

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