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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
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第777話 竜との戦い(3)

『まさか、私の鱗を貫き血を流させるとは・・・・・・・・この剣に付与されている妙な力のせいですか』

『おい白竜の。その剣を早く引き抜け。お前はまだ気がついてないかもしれないが、その剣を基点として妙なヒビが広がっている。何か嫌な感じだ』

 驚くロドルレイニに、隣にいたゼルザディルムがそう忠告の言葉を与えた。その言葉を聞いていた影人は思わず内心で舌打ちした。余計な事を言ってくれる。

(だが『破壊』の力はその力の動きを止めるか、受けたダメージを回復しない限り、どうこうする事は出来ない。俺の力は言っちゃ何だがほぼ万能に近い力だから、フェリートの奴から『破壊』の力を宿したダメージを受けても何とかなったが・・・・・・・てめえらはどうだい、竜さんたちよ?)

 しかし、『破壊』の力の厄介さを知っている影人はそれでも内面で余裕がある態度を取り続けた。ちょっと格好つけているのが本当に腹立たしいが、そんなところがこの前髪の特徴なので、こいつはこれで平常運転である。

『分かっている。忠告は無用だ、ゼルザディルム』

 ロドルレイニは黒竜の忠告に鼻を鳴らすようにそう述べると、左前足で器用に首に刺さっていた剣を引き抜いた。ロドルレイニの体の大きさからすれば少量の血が流れ出る。 

 しかし不思議な事にそれから3秒ほどすると、唐突に血は流れ出る事を止め、傷もまるで存在しなかったように綺麗に塞がった。当然、広がり始めていた黒いヒビもなくなっていった。

「なっ・・・・・!?」

 その現象を目の当たりにした影人は先ほどの余裕もどこへやら、驚いた声を漏らす。ざまあない。余裕綽々をぶっこいているからである。

『竜族の超再生。見るのは初めてのようですね。竜族は基本的にその鱗の硬さからダメージを受ける事はほとんどありません。ですが、ダメージを受けてしまった場合はすぐにその傷が再生する・・・・・・つまり、あなたが私とゼルザディルムを斃すためには、超再生が追いつかない程の攻撃をしなければならないという事です』

 影人のその声を聞いたロドルレイニは、影人に説明するようにそう思念の言葉を発した。

(クソ、そんなんもあるのかよ。流石、伝説と神話に聞こえし最強生物ドラゴンさまだな。普通にチートだろ・・・・・)

 攻撃手段、迎撃手段、その巨大で強靭な肉体、およそほとんどの攻撃を全て通さない硬さを誇る鱗、更には超再生なる力。その全てが反則級の力だ。しかし、影人には分からない事が1つだけあった。

「・・・・・・・・何でわざわざ俺にそんな情報を教える? 本来ならそんな情報は開示しなくていいはずだ」

 影人が疑問に感じたのはそれだった。ロドルレイニの言葉は、影人に自分たちを唯一殺せる方法を教えているようなものだ。確かに、戦いにおいて自分の力の情報を開示することはある。だが、それは情報を開示する事によって、相手の行動を縛るためなどの理由からだ。しかし、ロドルレイニの言葉からはそういった意図は感じられなかった。

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