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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
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第747話 怪物の心(4)

「ご名答だ。今日はちょっくら疲れちまったから、帰りにコンビニ寄ってたんだ。やっぱ、夏はアイスだぜ」

 影人はシェルディアの隣まで行くと軽く頷いた。そして、影人とシェルディアは隣り合って再び歩き始めた。

「確かに夏は氷菓がおいしいわね。でも、私は氷菓は少しだけ苦手ね。どちらかというと、果物とかの方が甘味としては好みかしら」

 影人が振った話題というわけではないが、シェルディアは影人が口にしているアイスを見ると、そんな言葉を述べた。その言葉を聞いた影人は軽く苦笑する。

「ははっ。何かおばあちゃんみたいな事いうな。普通、嬢ちゃんくらいの年の子は果物よりアイスの方が好きって子の方が多いだろ。かくいう俺も、果物よりアイスの方が好きだしな」

「あら失礼ね影人。誰がおばあちゃんかしら?」

 影人にそう言われたシェルディアがムッとした顔を浮かべた。どうやら影人の言葉が気に入らず、むくれてしまったようだ。

「悪い悪い、許してくれよ。それだけ嬢ちゃんが大人っぽいって事さ」

「物は言いようね。・・・・・ふふっ、仕方ないから許してあげるわ。私、大人だから」

 シェルディアは楽しげに笑いながらそう言った。

「それよりあなた、帰りこんなに遅かったかしら。私の記憶ではもう少し早かったと思うのだけれど」

「ああ、本当だったらもう少し早い。だけど、夏休み明けくらいから文化祭の準備期間に入っちまってな。文化祭の準備の仕事の関係で、帰りはだいたい遅めなんだ。まあ、今日はいつも以上に疲れちまったがな・・・・・・・・」

 シェルディアの疑問に影人はそう返答した。最近文化祭の準備の事で忙しかった事もあり、シェルディアと会う事はあまりなかった。ゆえに、シェルディアはその事を知らないのだ。

「文化祭? 何かのお祭りをあなたの学校でやるの?」

「まあ、そんなとこだよ。学生たちが屋台だしたり、演劇やったり、その日だけはある程度のバカ騒ぎが許されたりするんだよ。俺は別に面倒だとしか思わねえけど、一般的には学生たちが大いに楽しむ祭りだ」

 シェルディアは文化祭が何か知らない様子だったので、影人はかなり噛み砕いたがそんな説明を行った。文化祭は日本の学校特有のものだと聞いたことがあるので、外国人であるシェルディアは知らなかったのだろう。影人は適当にそう納得した。

「へえ、それは楽しそうね。あなたも何かするの?」

「俺個人は何もやらないけど、俺のクラスがな。コスプレ喫茶ってしょうもないやつだよ。クラス全員何かの仮装して喫茶店やるんだ。もちろん俺も仮装させられる」

「あなたが仮装? ふふふっ、ぜひ見てみたいわね。いったいどんな仮装をするつもりなの?」

「秘密。ま、今の所はこれやろうかなって考えてるのあるから、他にアイディア湧いてこなかったら多分それになるだろうけどな」

「もったいぶるわね。ねえ、影人。その文化祭って、私も行く事は出来るのかしら?」

 唐突、という程でもないがシェルディアがそんな事を聞いてきた。影人は一瞬驚いたよう顔を浮かべたが、少しだけ嫌そうな顔でこう言葉を述べた。

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