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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
726/2051

第726話 女神たちの思惑(3)

「ありゃ部屋でふて寝か、修練場で暴れるかのどっちかだな。では、レイゼロール様(ミストレス)。俺も一旦失礼してもよろしいですかね? 予定外に疲れちまいましてね。休息が欲しい次第であります」

 冥が消えた後でそう呟いたゾルダートは、正面の石の玉座に座るレイゼロールに、畏まったようにお辞儀をした。

「・・・・・・・いいだろう。今回はご苦労だった、ゾルダート。存分に休め」

「ありがとうございます。それでは失礼」

 レイゼロールがゾルダートにその許可を与えると、ゾルダートも冥と同じように闇の中へと消えて行った。

「・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」

 そして、この場に残ったのはレイゼロールとダークレイの2人だけになった。

「・・・・・一応聞いておく。この100年ほどの間に、お前は我の探し物を見つけたか? もしくは、それに関する情報を得たか?」

「全く。正直、あんたの探し物なんかまともに探してなんかいなかったし。私はただ、適当に世界を回っていただけよ」

 レイゼロールのその質問に、ダークレイはその首を横に振った。

「そもそも、私が闇人になったのはソレイユを許せなかったからよ。あいつに復讐・・・・・いや、単に嫌がらせね。それをするために、私は闇に堕ちただけ。だから、あんたの目的に協力なんかしないわ。あんたもどうせ、私が言うことを聞かないって分かってたでしょ」

「ああ。確かに分かってはいた。だから一応と言ったのだ。・・・・・・・・お前は他の闇人たちとは違う。元光導姫の最上位闇人など、貴様以外には存在しない。ゆえに、お前が闇人でも我の目的に協力しない事は多少は許そう。貴様の場合は事情が事情だ。お前にとって、我は元々敵だったからな。貴様が闇人になって150年ほど経った今でも、感情の整理をつけるのは難しいだろう」

 レイゼロールはダークレイの事情に触れ、それに理解を示したが、次の瞬間その目を細めた。

「だが、最低限の協力はしてもらうぞ。それは忘れるなよ」

「・・・・・分かってるわよ。光導姫や守護者と戦う協力はするわ。戦力としての仕事はこなしてあげるつもりよ」

 ダークレイは変わらず苛立ったような口調であったが、レイゼロールのその言葉には了承の言葉を口にした。

「・・・・ならばいい。我も貴様の力は当てにしている。・・・・・・・・・絶望を知る者は、強いからな」

「・・・・・・・・あんたがそれを言うの? ()()()()()()()()()()()()()()()()あんたが」

 ダークレイの声音が変わり、レイゼロールを見つめる目にも怒りと殺意といった負の激情が灯る。その声音は、聞く者を呪い殺すような憎悪が宿っていた。

「・・・・・そうだ。我だから言うのだ。貴様の親友を殺し、貴様にソレイユの目的を教えた我だからこそな。せいぜい、我への怒りを、殺意を、絶望を燃やし続けろ。それが今の貴様の強さになる」

 だが、レイゼロールはその凄まじい負の感情をぶつけられても泰然としていた。その姿はまさに女王。いや、闇統べる女神に相応しいものだった。

「ッ・・・・・ふざけやがって・・・・! 絶対に、絶対にいつかあんたを殺してやるわ・・・・・・・・!」

「やってみろ。この呪われた不老不死の身を貴様が殺せるのならばな」

 ダークレイの迸る殺意。その殺意にレイゼロールは冷たい笑みを浮かべる。その笑みは確かに冷笑であったが、どこか諦めたような笑みにも見てとれた。 

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