第721話 今、全ての真実を2(3)
「レイゼロールにおける浄化。それは・・・・・レイゼロールを絶望という心の闇から解き放つ事。・・・・・・・・・・・お前は、レイゼロールを救いたいんだな、ソレイユ」
そして、影人はソレイユに代わりその答えを呟いた。影人はソレイユの代わりに、4本目となる右の小指を立てた。
「・・・・・・・・・はい。それが私の、私とラルバの目的です。レイゼロールの心の闇を浄化すれば、レイゼロールは私たちの言葉に耳を傾けてくれる。レイゼロールの心の闇を浄化できる程の人間の思いに触れれば、レイゼロールは変わるかもしれない。・・・・・あなたの言う通り、私はあの子を、レールを救いたい・・・・・・!」
ソレイユの顔が様々な感情に歪む。そこには、友を救いたいと望む1人の神の姿があった。影人が初めて見るソレイユの姿だ。
「軽蔑するでしょう・・・・・? 私は、友を救いたいという身勝手に過ぎる理由から、光導姫たちを戦わせている。彼女たちに死のリスクを背負わせ、戦わせている。自分は何もせずにですよ? 私が神界にいても、私はレールに対して直接何も出来ない。地上に降りても、神としての力を振るう事の出来ない私は何の役にも立たない。神なんて言っても、私はこんなに無力なんですよ。何が神でしょう。私はただのクズ野郎です・・・・・・・・!」
自虐的な笑みを浮かべながら、ソレイユは自身を詰った。だが、自分を責める言葉はまだ止まらない。
「今まで何人もの、それこそ何百人もの光導姫たちが命を落として来ました。全て私の甘いエゴのせいです。今日あなたが見たシオンは、そんな私のエゴによって友を失った。そして、私のエゴの一端をレイゼロールから聞かされたシオンは、絶望して闇に堕ちたのです。私は神。基本的に死ぬ事はありませんが、死ねば確実に地獄へと行く罪人です。当たり前ですよね、なにせ私のエゴが今まで全ての光導姫たちを殺して来たのですから・・・・・・・」
ソレイユは影人に全てを告白した。ソレイユがこの事を誰かに話したのは、影人が初めてだ。ソレイユはきっと影人は軽蔑し容赦のない言葉を述べるだろうと思っていた。この少年は忖度せずにハッキリと自分の意見を述べるだろう。帰城影人とはそういう少年だ。
「・・・・・・非難の言葉を与えれば、お前は満足するのか? お前は許しが欲しいのか、ソレイユ?」
「え・・・・・・・・・・?」
だが、影人はただ問いかけるようにそう言っただけだった。そこに非難するような声音は一切ない。それは、ただ純粋な問いかけの声音だった。
「正直、今の話でお前を軽蔑するかと言われたら否だな。まあ、甘いとは思うぜ。世界を危険に晒す可能性のある奴を排除するんじゃなくて、救おうとしてるんだからな。たぶん、俺みたいに冷めた考え方してる奴はそう思う。だがまあ、それはレイゼロールの事をよく知らない他人の感想だ。レイゼロールの友達だったお前の思いや気持ちは、俺とは違う」
影人は呆けたような顔を浮かべているソレイユに、自身の考えを述べる。




