第719話 今、全ての真実を2(1)
「・・・・・・はっ、なるほどな。レイゼロールが闇奴を生み出す理由が、まさかそんな理由だったとはな。予想もつかなかったな」
ソレイユから闇奴が生み出される理由を聞いた影人は、イスに体重を掛けながら軽く息を吐いた。
「逆に予想していたら怖いですよ。さて、以上が私が隠していた事の全てです。簡潔に纏めると、レイゼロールの目的は、カケラの回収と、闇奴を生み出して儀式に必要なエネルギーを貯める事。その最終目標は、兄の神の復活です。質問があるならどうぞ、影人」
ふぅと大きく息を吐き、ソレイユは影人にそう言って来た。
「んじゃ、何個か質問だ。1つ、なぜ長老はわざわざレイゼロールの力をカケラにして、地上に散らばせたのか。それならいつかレイゼロールがカケラを全部回収しちまう。他の方法は何かなかったのか? 2つ、なぜ兄の神の復活が世界を危険に晒すのか? 最初にお前はレイゼロールの目的は、世界を危険に晒すといった。確かに死者の復活は色々問題があるんだろうが、要はレイゼロールは兄貴に会いたいだけだろ? それが何で世界の危機になるのか、イマイチ分からねえ。3つ、エネルギー回収はまだ終わってないのか? これは単純な疑問だ。そして4つ、これが最後だ。お前と光導姫たちの最終目的、レイゼロールの浄化ってのは結局のところ何なんだ? 俺的には、レイゼロールを斃す手段だと思ってたが、お前の話を聞く限り何か違う気がするんだよな」
影人は右の指を4つ立てながら、そう質問した。
「なるほど、確かにその辺りは説明していませんでしたね。すみません、私のミスです。では、説明しましょう」
ソレイユは影人に軽く頭を下げてそう謝罪すると、影人の質問に答えるべく説明を始めた。
「まず第1の質問、『長老はなぜレイゼロールの力を結晶化させ、地上に散りばめたか』について、お答えしましょう。これに関してはあなたが言ったように、他に方法がなかったからです。いくら長老といえど、当時のレイゼロールの力を削ぐにはその方法が限界だったからです。だから長老は、せめてもと散りゆくカケラに隠蔽の力を施しました。これが第1の質問の答えです」
ソレイユは右の人差し指を立てた。
「第2の問い、『兄の神の復活がなぜ世界の危機に繋がるのか』。これはその儀式に危険があるといった方が正しいです。そもそも、先ほども言いましたが神の復活には莫大なエネルギーが必要になります。そして、兄に関わるものは『終焉』の力です。当然ですが、儀式には失敗のリスクもあります。復活の対象が人間の場合、レイゼロールほどの力があれば普通の人間ならまず成功します。確率で言うなら殆ど100パーセントです。ですが、その対象が神となると成功の確率は急激に下がります。儀式の準備が万全に整っていると仮定して、最大限の期待をしても、成功の確率は30パーセントくらいでしょう。そしてこの場合、儀式が失敗すれば、世界からレイゼロール以外の全ての命は消え、世界は破滅します」
「は・・・・・・・・? って事は70パーの確率で世界が滅亡するって事かよ・・・・!?」
その衝撃の事実を聞かされた影人は、驚愕したようにソレイユにそう聞き返した。




