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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
702/2051

第702話 カケラ争奪戦イギリス9(4)

「ははっ、やってくれやがったなスプリガン! さっきの連撃は効いたぜ!」

 影人と影人と向かい合っていたレイゼロールが、水音がしてきた方向に視線を向けると、ずぶ濡れの冥が破損した橋上付近に立っていた。

「さあ続きと行こうぜ! まだまだ俺は――!」

 冥が身に纏った闇を激しく揺らめかせながら、そう言葉を続けようとした。だが、レイゼロールは何かに気がついたようにこう言葉を割り込ませた。 

「っ、待て冥。後ろを見ろ。あれは・・・・・」 

「ああ? 後ろ? いったい何だよ」

 冥は仕方なしに自分の後ろ――向こう岸の橋の方に視線を向けた。影人もレイゼロールと同じ方を向いていたので、レイゼロールが何を見たのかよく分かった。ちなみにではあるが、影人はちゃんと後方のレイゼロールの事を警戒している。レイゼロールが何かすればいつでも反応できるように。

「ゲホッゲホッ! よ、よう冥・・・・・・・て、てめえは変わらず元気そうだな・・・・」

「そういうてめえは今にもポックリ逝っちまいそうだな、ゾルダート。随分と派手にやられてんじゃねえか」

 向こう岸の橋の上に現れたのは、胸部にナイフが刺さっている男だった。気配と冥の言葉、あと血の色からするに、かなり弱っているが最上位闇人だろう。ゾルダートと呼ばれた最上位闇人は、胸部から黒い血を流し、咳き込むと同時に吐血していた。

「へっ、ま、まだ逝きやしねえよ・・・・・そ、それよかレイゼロール様(ミストレス)、か、回復をお願い出来ませんかね・・・・・・・・・?」

「回復の力は貴様にやったはずだが・・・・・・・まあいいだろう」

 苦しげに笑みを浮かべながらそう言ってきたゾルダートに、レイゼロールはそう言葉を返した。その次の瞬間、レイゼロールの気配が影人の後ろから消え、レイゼロールはゾルダートの横に移動した。先ほどイヴが教えてくれた瞬間移動だろう。

「まずはナイフを引き抜くぞ」

「お、お願いしますよ・・・・・がっ!?」

 レイゼロールがゾルダートの心臓に刺さっていたナイフを勢いよく引き抜く。ゾルダートがそのショックから両目を見開く。ナイフが抜かれた瞬間、凄まじい量の黒い血が体外へと流れ出た。

「・・・・・・・・・分かっていると思うが、血の量までは回復できないぞ」

 レイゼロールは右手をゾルダートの心臓付近にかざした。右手に闇が集まる。そしてその闇は、ゾルダートの傷口に流れていき、ゾルダートの傷口に纏わりついた。

 すると、ゾルダートの傷口とその体内の心臓は綺麗さっぱりに治癒された。

「・・・・・・・」

 影人はその光景をただジッと見つめていた。回復の妨害をする事も出来なくはなかったが、妨害の行動にはリスクが高かった。いくら影人といえど、冥とレイゼロールがこれほど近くにいる中で、迂闊には動けないからだ。

「・・・・・・・ふぅー。ありがとうございます。おかげさまで元通りだ。まあ、血はけっこう流しちまったんで、けっこう弱くなっちまってるでしょうが。それで・・・・・・あの黒衣の男が噂のスプリガンですかね? どうやら、俺が足止めしてる間に現れたみたいだ」

 レイゼロールから治癒を受けたゾルダートは、いつも通りの口調で礼の言葉を述べると、その視線を影人へと向けた。

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