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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
674/2051

第674話 カケラ争奪戦イギリス3(4)

「ッ・・・・・・・・!」

 プロトは左脇腹に生じた激痛に更に顔を歪ませながらも、気力を振り絞りゾルダートを投げ飛ばした。プロトに投げ飛ばされたゾルダートは、大体10メートル程離れた場所に華麗に着地した。

「プロト大丈夫ですの!? ああ、私を助けてくれたばかりに・・・・・!」

「き、気にしないでくれクアトルブ嬢。僕は、僕の使命を果たしているに過ぎないから・・・・・・・・!」

 プロトの脇腹に刺さったナイフを見たメリーが、顔を青ざめさせた。プロトはメリーを心配させまいと何とか笑みを浮かべると、自分の脇腹に刺さっているナイフを引き抜いた。途端、プロトの顔が苦痛に歪む。ナイフを抜いた事によって血もドクドクと流れ出て、フロッグコートがまた赤く染まっていく。

「それに、この程度ケガの内にも入らないよ・・・・! まだ、たかが腕と脇腹を刺されただけだからね・・・・・・・・この体が動ける限り、僕は戦えるし君を守り続ける」

 左手でナイフを放り捨てたプロトは、どこまでも気丈に振る舞ってみせた。守護者たる自分が光導姫に心配を掛けるわけにはいかない。それはプロトの信条の1つだった。

「くくくっ、頑丈な守護者さんだなぁ。よくもまあ、脇腹ぶっ刺されてそこまで言えるもんだぜ」

 プロトの姿を見たゾルダートが褒めるようにそう言った。そして、腰のポーチから包帯を取り出したゾルダートはそれを右手に巻いていった。先ほどメリーのサーベルを受け止めた時に負傷した箇所だ。掌が血まみれというのは武器を握りにくいし、過度な出血は自身の更なる弱体化にも繋がる。

「だが、あんたはもう怖くねえな守護者さんよ。そんだけ派手に血流してりゃまともに動けねえだろ。それに・・・・・・おおっと、わざわざ言う必要はねえな」

 右手をしっかりと包帯で巻いたゾルダートはニヤリとした笑みを浮かべた。ゾルダートがプロトの事を怖くないといった理由は実はもう1つあるのだが、それを言ってしまうのは今のところデメリットでしかない。

(しっかし、中々いい能力だなこいつは。今のところ、ストックは冥のコレといま取ったコレ、あとは女主人サマ(ミストレス)のアレの3つだけだが・・・・・この状況なら、上手く行きゃ2人とも殺せるかもな)

 ゾルダートは今の自分の状態と、軽傷のメリーとほとんど重傷に近いプロトを材料にしながら内心そう呟いた。未だに光導姫の方は厄介だが、あれも拳銃で多少の傷はつけた。現在のゾルダートと同じくらいには弱体化している。ならば、勝ちの目はいくらでもある。

 守護者の方に関しては、靴裏の隠しナイフでそれなりの刺し傷を、普通のナイフで脇腹に重大な刺し傷を与えたので、かなり弱体化しているはずだ。ゾルダートには、どれくらいの傷でどれくらい相手が弱体化するのかは分からないが、明らかに今のゾルダートよりは弱いはずだ。

 それに揺らめく闇のオーラを纏った自分のこの状態。逆境になればなるほど、今のゾルダートは強くなっていく。負ける要素はほとんどない。

「くくっ、さあ次で最終ラウンドと行こうじゃねえかお2人さんよぉ! 最後の最後まで、この戦いを楽しもうぜぇ!」

 ゾルダートは右手に拳銃を、左手は徒手のまま両手を広げメリーとプロトにそう言った。ゾルダートは今とても楽しい。生を実感している。だから、気がかなり昂っていた。

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