表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
669/2051

第669話 カケラ争奪戦イギリス2(4)

 ゾルダートが右の前蹴りを放つ。メリーは華麗にその前蹴りをヒラリと避けると、左手の銃をゾルダート目掛けて放とうとする。

「甘いッ・・・・・・!」

 だが、ゾルダートはメリーに銃を撃たせようとはしなかった。ゾルダートは拳銃を持った左手を、メリーの銃に向かって突き出しメリーの銃口を逸らさせる。

 次の瞬間に響くは雷号のような銃声。しかし2人の剣と銃を使った戦いはまだまだ終わらない。

 今度はゾルダートが至近距離からメリーに拳銃を発砲しようとした。しかしそれはブラフだ。ゾルダートは左の拳銃を発砲するふりをして、右手のナイフをメリーの右目に突き刺そうとした。

「その程度!」

 メリーは強気な笑みを浮かべ、ゾルダートのナイフによる突きを顔を逸らして避ける。最小限の動作であったため、頬からは少量の血が流れていた。

「ハッ! その綺麗な顔、傷ものになっちまったなあ! お嬢さんよ!」

「こんな傷唾つけとけば治りますわ! それに、戦いで傷付くのは当然でしょう!?」

 ゾルダートの言葉にメリーは少し乱暴に笑うと、右の肘鉄を放った。ゾルダートは仕方なくその肘鉄を避けた。

(危ねえ・・・・・! つーか何なんだよこの光導姫。この俺と対等に近接でやり合えるだと? たかだかこんな女のガキが?)

 ゾルダートは現役の傭兵。いわば戦闘のプロだ。近接戦で光導姫を圧倒出来ないというのは普通はおかしい。

 光導姫は普通の人間とは違い、特殊な能力や凄まじい身体能力を持っているが、その殆どはただのガキだ。戦いというものをまるで知らなかったただの子供。だというのに、目の前の光導姫はゾルダートと同等の戦闘センスを持っている。明らかに普通の子供以上に箱入りという感じであるのにだ。 

「オラっ!」

「うおっ!?」

 ゾルダートをしても抱かずにはいられなかった一瞬の疑問。いや、ゾルダート程の戦いのプロだからこそ余計に意識に引っかかたその疑問。そこに生まれた一瞬の隙をメリーが悟ったのかは分からないが、メリーは唐突に自分の左足でゾルダートの右足に足払いを掛けた。そして、ゾルダートはその足払いによってバランスを崩された。

「隙ありですわッ!」 

 バランスを崩したゾルダートにメリーが左の銃を向ける。ゾルダートはそれだけは食らうまいと、右手に持っていたナイフをメリーに向かって投擲した。髪を螺旋状に巻いた光導姫は、回避の行動を取らざるを得なくなったが、ゾルダートはバランスを崩した上に無茶な体勢からナイフを投擲した。ゾルダートの動きは今は完全に硬直している。今ならば攻撃が当たる。

「無茶も・・・・・・・・淑女の嗜みですわ!」

 メリーはナイフを回避すると同時に、右手のサーベルをギリギリまで伸ばし、ゾルダートの右の脛めがけてサーベルを振るった。本当は銃弾を当てたかったが、サーベルの方でも相手に傷をつけさえすれば、メリーの光導姫としての能力は()()()()。とにかく、攻撃を当てなければメリーの能力は発動しないのだ。

 そしてメリーのサーベルは、ゾルダートの右の脛を浅くではあるが切り裂いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ