第663話 カケラ争奪戦イギリス1(3)
『そして肝心のレイゼロールと闇人2人についてですが、こちらは現在ロンドンを移動中だと思われますが、正確な目的地は分かりません。おそらく、今回も何かを探しているとは思われますが・・・・・』
「山にパリに今度はロンドンでなに探してやがるんだかな・・・・・・・・分かった。俺は今回もレイゼロールの行動の阻害をすればいいんだな?」
影人はソレイユにそう確認を取った。影人の言葉を受けたソレイユは「はい」と言ってその言葉を肯定する。
『お願いします。あなたはこれからレイゼロールを追ってください。あと、レイゼロールを追うのはあなただけではありません。光導姫ランキング第6位「貴人」、それと守護者ランキング1位「守護者」もレイゼロールを追っています。分かっていると思いますが、2人にはまだ攻撃しないでくださいよ』
「それは分かってる。つーか、守護者ランキング1位ね・・・・・・・遂に守護者の1位とご対面ってところか。さて、どんな面してやがるのかね」
守護者ランキング1位、その言葉を聞いた影人は少しだけ興味をそそられた。守護者にして『守護者』の名を与えられた男。果たしてどのような人物なのか。
影人は制服のズボンのポケットから黒い宝石のついたペンデュラムを取り出した。そしてそれを右手に持ちながらこう言葉を呟いた。
「変身」
黒い輝きがペンデュラムについた黒い宝石から発せられる。そして黒い光が収まり、右手にあったペンデュラムが消失すると影人の姿は変化していた。黒衣纏う金の瞳の怪人、スプリガンへと。
『影人、レイゼロールの位置までへのガイドは――』
「ああ、それは多分いらねえ。イヴと契約してから、俺もそっち系の感度は上がってると思うからな。たぶん意識を集中すりゃ・・・・・・」
影人は目を閉じながら自分の意識、その感度を広げるようなイメージをした。意識を集中しながら数秒そうしていると、影人は自身と同じ闇の気配を複数補足する事に成功した。散らばっている弱めの闇の気配はおそらく闇奴だろう。ちょうど4つ感じられる。
「・・・・・あった、これだな。こっから北の辺りに強い闇の気配2つと、それ以上に強い闇の気配を感じるぜ」
影人は残りの強い闇の気配を察知しそう呟く。ほぼ間違いなく、最上位闇人2体とレイゼロールの気配だろう。
『ッ、影人レイゼロールたちの気配を感じ取れるのですか?』
「ああ。出来るかなと思ったら出来た。そういう訳だからガイドはいらないぜ。お前は闇奴とかの方にしばらく注力してろよ。俺の方は心配しないでいい」
影人はソレイユにそう言った。影人の言葉を聞いたソレイユはこう言葉を返してきた。
『分かりました。ではしばらく私はそちらの方に意識を向けます。影人、ご無事に』
「自惚れるつもりはねえが・・・・・・・・誰に言ってんだよ。俺はまだまだ死ぬつもりはないからな」
自分の身を案じるソレイユにニヤリとした笑みを浮かべた影人は、そう宣言するとロンドンの街を駆け出した。




