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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
633/2051

第633話 その闇人、最悪につき(5)

「へ? ぎゃ、ぎゃあああああああああああああああああああッ!?」

 一瞬何が起きたのか分からなかったゾルは、自分腕から刃が突き出ている光景を目にすると、銃を落としながら悲鳴を上げた。

「「「「「え・・・・・・・・?」」」」」

 その光景を見ていた5人の取り巻きたちは、思わずそんな声を漏らした。

「うるせえな。たかが腕にナイフが刺さったくらいで、女みたいな悲鳴を上げんなよ」

 スーツ姿の男はメガネを外し、髪をかき上げながらそんな言葉を呟いた。先ほどまでの様子とはまるで違い、スーツ姿の男からは冷酷で暴力的な印象を受けた。言葉遣いも豹変している。

「ったく、ついてないぜ。せっかくビジネスの話がまとまって気分が良かったってのに、チンピラのゴミ屑どもに絡まれるとはよ」

 髪を崩し、メガネをスーツのポケットしまったスーツ姿の男。今日は麻薬の売買が決まって、午後からは優雅に列車で旅気分に浸ろうと思っていたのに。

「お、お前なにしてんだよ!?」

 ようやく混乱から立ち直った取り巻きの内の1人が、恐怖の入り混じった声でそう叫んだ。

「あ? 何って普通にナイフぶっ刺しただけだ。ああ後、お前らも邪魔だな。ちょっと動いてくれるなよ?」

 スーツ姿の男はそう言って、スーツの内ポケット――先ほどスマホを入れた方とは別の――から拳銃を取り出すと、それを何の躊躇もなく5発撃った。

 その5発の銃弾は、綺麗に5人それぞれの片足へと命中した。

「ひぎゃ!?」

「い、痛えよぉぉぉぉ!」

「血が、血が止まらねえ!」

「あ、ああああッ!」

「痛い痛い痛い痛い!」

 スーツ姿の男に足を撃ち抜かれた取り巻きたちは、全員その場に崩れ落ちた。スーツ姿の男は拳銃を持ちながら、足を痛めている男たちへと近づいていく。

「ほい、ちょっと失礼するぜ。って、あーてめえら薬物中毒者ジャンキーかよ。せっかく臓器売っ払おうと思ってたのに、中身がボロボロじゃ話にならねえじゃねえか。使えねえ奴らだな」

 スーツ姿の男は倒れている男たちの腕を見て、複数の注射痕の後を見つけると、軽く舌打ちをした。弾代が無駄になってしまった。

「しゃーねえ、処分するか。おい、お前。確かゾルとか言ったか? お前にチャンスをやる」

 スーツ姿の男は、腕からなんとかナイフを抜いていたゾルに拳銃を向けると、酷薄な笑みを浮かべた。

「ひっ!? な、何だよ!?」

 スーツ姿の男に拳銃を向けられたゾルは、痛む右腕を押さえながら情けない声を上げた。先ほどと立場がちょうど逆転した感じだ。

「本来なら、てめえらみたいな使い物にもならない奴ら全員殺すとこだが、今日の俺はまだ気分がいい方だ。そこの拳銃を拾って、あいつら全員殺したらお前だけは見逃してやる。どうだ、のるか?」

 スーツ姿の男は倒れている取り巻きたちを指差しながら、悪魔の囁きのようにゾルにそう提案した。当然、スーツ姿の男の言葉はその取り巻きたちにも聞こえていた。

「は!? ゾルさんそんな奴の言葉聞きませんよね!? 俺たち仲間ですよね!?」

 その内の1人が必死にゾルにそう呼びかけた。他の4人も似たような言葉をゾルに投げかけていた。

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