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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
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第619話 怪人としての問い(2)

「・・・・・・・・とりあえずは、適当に探ってみるしかねえか。ソレイユには、そのための協力もしてもらえる事になったし」

 影人は穂乃影の兄として、穂乃影がどうして光導姫になったのか、その真意がどうしても知りたかった。そのための方法は考えてある。()()()()()()、影人にしか取れない方法だ。

『お節介な野朗だ。そんなに妹の事が気になるかよ?』

 イヴのその言葉に、

「・・・・・当たり前だ。俺はあいつの兄貴だぞ。妹が光導姫なんていう危険な仕事してて、気にならないはずがねえ」

 影人は真剣にそう答えるのであった。












「・・・・ちょっとバイトに行ってくる」

 8月22日水曜日、午後7時半。穂乃影が光導姫だと影人が知った日から2日経った日。

 リビングでテレビを見ていた穂乃影は、頭の中に音が響いたのを感じると母親にそう言った。そして部屋から紺色の宝石のついた指輪を持ち出すと、それをズボンのポケットに入れる。穂乃影は玄関に向かい靴を履くと、外へと繰り出した。

「・・・・・・・行ったか」

 自分の部屋のベッドに寝転んでいた影人は、玄関のドアが閉まる音を聞くと、むくりと体を起こす。影人の部屋は玄関のすぐ横にあるので、部屋にいても玄関のドアを開閉する音は聞こえるのだ。

『――影人、いま闇奴の出現に際して光導姫『影法師』、穂乃影に合図を送りました。あなたのやりたい事をするのなら、どうぞ』

「分かってる。サンキューだ、ソレイユ」

 影人の内側から響いたソレイユの声に、影人は肉声でそう感謝の言葉を述べた。

『今回は場所が少し遠かった事もあり、穂乃影を転移させました。そういう事なので、あなたも穂乃影の場所に転移させますね。準備ができれば教えてください』

「オーライ」

 影人は続くソレイユの念話に了解を示す言葉を述べると、机の中にしまっていたペンデュラムを手に取り、靴を履いて玄関を出た。

「ソレイユ、頼む」

『はい、では』

 準備が整った影人は、ソレイユに念話で合図を送った。影人の合図を受けたソレイユは、影人に転移の力を施した。

 数秒後、影人の体が光に包まれる。やがて影人の体が完全に光に包まれると、影人は光の粒子となってマンションの構内から姿を消した。








「さて、穂乃影は・・・・」

 転移した影人が出現した場所は、どこかの神社かお寺の境内けいだいのようだった。ぱっと見、鳥居が見えないのでお寺だと思われるが、今はそんな事はどうでもいい。影人は辺りに視線を向けながら、穂乃影の姿を探した。

「っと、あそこか」

 周囲を探りながら慎重に歩いていると、前方の少し開けた場所に穂乃影の姿が見えた。当然ながら、穂乃影は光導姫に変身している。影人は境内内の建物に身を隠しながら、状況を観察した。

「ゲコッ!」

 おそらく2メートルはあるだろうと思われる、巨大な蛙の姿が目に入る。間違いなく、あれが闇奴だろう。自然界にあれほど巨大な蛙は、現在のところ存在しないはずだ。

「・・・・・・蛙はあんまり好きじゃないんだけど」

 穂乃影は真っ黒な剣を右手に握っていた。この前見た時は真っ黒な杖を持っていたが、今回は違うようだ。武器の切り替えが、穂乃影の光導姫としての能力かと、影人は適当に推測した。

「ゲコッゲコッ!」

 蛙型の闇奴は口を開けると、ヌメついた巨大な舌を穂乃影に向かって伸ばした。穂乃影は嫌そうな顔をしながら、その舌を避ける。

(あのクソ蛙・・・・ウチの妹になに気持ち悪いもん伸ばしてんだ。舌を穂乃影に触れさせた瞬間、その舌ぶった斬ってやろうか・・・・・・・)

 影人は前髪の下から蛙型の闇奴を睨みつけた。ふざけやがって、なんだあの闇奴は。もしも成年向けコンテンツのように、あの舌で穂乃影を舐め回すような事があれば、影人は間違いなくキレる自信がある。というか、もう既にキレそうだ。

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