表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
61/2051

第61話 蹴撃のスプリガン(2)

『っ・・・・・・!? これは・・・・・!?』

「今度は何だ? ソレイユ」

 影人が眼下の光景を目にしながら、ソレイユに話しかけた。

 段階進化シフトアップした闇奴との戦闘が終了し、影人がしばらく様子を見守っていると、突然この闇のドームのようなものが出現し4人を閉じ込めた。

 突然の事態に影人と視覚を共有していたらしいソレイユも戸惑っていたし、影人も何が何だかわからない。

 しかも外からは中の様子は見えないので、これでは中で何が起こっているか分からない。

 ソレイユとこの事態にどう対応するか話し合っていたときに、ソレイユが何かに気づいたのだ。

『レイゼロールです! レイゼロールがあの中に現れました!』

「・・・・・・どういうことだよ」

 これには影人も冷や汗を流しながら、中の見えない闇色のドームのようなものに鋭い視線を向ける。

『私はあのドームのようなものが出現したと同時に光導姫アカツキの視覚を共有しました。そして昏い穴の中から突然レイゼロールが出てきたのです。・・・・・・もしかして、転移? 今の彼女にまだそんな力が――』

「・・・・・事情は分かった。で、俺はどうすればいい」

 後半は独り言のようになっていたソレイユに影人は指示を仰ぐ。結局、いま自分は何をすればいいのか。

『・・・・・そうですね、レイゼロールの目的が何かはわかりません。ゆえに、リスキーではありますが少し様子を見ます』

 少し思案してソレイユは自らの考えを影人に伝える。ソレイユとは違い、中の様子が見えない影人はその考えに異を唱える。

「それは楽観的過ぎねえか? 相手はレイゼロールだ。俺はあいつの戦闘能力を知らねえけど、敵の親玉ってことはそれなりに強いはずだろ? なら俺が突撃をかけて――」

『あなたの気持ちは分かります。しかし、まずはレイゼロールの目的、それを明らかにする必要があります。緊急事態のため、視覚の共有だけでなく、聴覚の共有も解放します。これでレイゼロールの声も光導姫アカツキを通して私にも聞こえ――』

「だから俺が言ってるのはそういうことじゃ――」

 影人が苛立ったような声でソレイユの言葉に声を挟もうとするが、ソレイユは少し強めの口調でそのまま話を続けた。

()()()()()()と言ったはずです影人。私とて光導姫や守護者がレイゼロールと戦闘を始めていれば、すぐにあなたに助けに行ってほしいと指示していたでしょう。しかし今のところ、レイゼロールは何も仕掛けてはいません。だから危険ではありますが、様子を見ようと言ったのです』

「・・・・・・・それならそうと言ってくれ。俺には中の様子が見えないんだ」

『それはそうでしたね。すみません影人』

 はあとため息を吐くと、影人は自分にとってブラックボックスと化しているドームを見る。見えないと言うのは不便なことだ。

「・・・・・・何か起こりそうなら教えろよ」

『はい。ありがとうございます』







「・・・・・・・奴はいないか」

 レイゼロールが周囲を見渡し、ポツリとそんな言葉を漏らした。

 奴、というのが誰のことを指しているかは分からないが、レイゼロールはその人物を探している?

 レイゼロールの言葉から情報を読み取ろうとするが、アカツキにはそれ以上のことはわからない。

「一体、何の用なの! レイゼロール」

「私たちと戦いにでも来たのかしら?」

 陽華と明夜が物怖じしない姿勢でレイゼロールにそう言った。

(この2人、本当たいした奴らだよ・・・・・・)

 陽華と明夜の姿を近くで見ていたスケアクロウは心の底からそう思った。

 普通の人間はレイゼロールと相対すれば、アカツキや自分のようにただただ最大限の警戒をしてレイゼロールには話しかけないだろう。

 しかし、この2人はレイゼロールに対して全く物怖じしていない。それが勇気か蛮勇かは分からないが、誰にでも出来ることではない。

「・・・・・・・今日は貴様らに用はない。われが出向いた理由をお前たちに言う義理はないのでな」

 氷のような眼差しで陽華と明夜を見ながら、レイゼロールはそう答えた。

「・・・・・じゃあ、お言葉だけど、僕たちをこの結界に閉じ込めた理由は何なのかな? 僕たちに用がないならさっさとこれ解いてほしいんだけど」

 2人に続き、アカツキもレイゼロールに話しかける。この前の戦闘でレイゼロールにはこの人数では絶対に勝てないと分かっているアカツキからしてみれば、この言葉でレイゼロールの気分を害さないか心配だったが、それは杞憂だった。

「・・・・・・それは出来んな。お前達は奴を釣るための餌だ」

「・・・・・・奴? 一体だれのことだい?」

 先ほどから心臓がバクバクとうるさいが、できる限り情報を集めようとアカツキはレイゼロールと言葉を交わす。どうやらレイゼロールの目的は自分たちを使って誰かをおびき出すことらしい。

「お前達が知る必要はない。だが、そうだな――5分だけ待とう。5分を過ぎれば、お前達を()()

「「「「ッ!!」」」」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ