第576話 歌姫オンステージ12(3)
「ああ、レイゼロールとその黒フードとも軽く戦ったたが、黒フードの方は厄介だったぜ。確か、『フェルフィズの大鎌』だっけか? 全てを殺す神殺しの大鎌だから死ぬ気で気をつけろって、イヴが言ってた。何でイヴがその鎌の事を知ってるかわかんねえが、その忠告がなかったらヤバかったぜ」
「ッ!? 『フェルフィズの大鎌』・・・・・・? 今、そう言いましたか!?」
影人の出したある言葉を聞いたソレイユは、信じられないといったような表情を浮かべ、そう問いただして来た。
「お、おう・・・・・・? イヴは確かそう言ってたぜ?」
ソレイユのあまりの驚きように、逆に影人も驚いたような感じになる。いったいどうしたというのか。反応から見て、どうやらソレイユもその鎌の事を知っているようだが。
「イヴさんが? なぜイヴさんが『フェルフィズの大鎌』の事を・・・・・・・・・ッ、もしかして・・・・いや、今はその事は後でいい・・・・・黒フードの人物が持っていた鎌は『フェルフィズの大鎌』。全てを殺す事が出来る禁忌の武器。死神のような姿、闇奴殺しの怪人の噂・・・・・・・噂の人物と、その人物の特徴は一致する。闇奴殺しの謎も『フェルフィズの大鎌』があれば・・・・・」
「ソレイユ・・・・・・・?」
ぶつぶつとソレイユが何かを呟いている。ソレイユの言葉の内容の意味は、影人にはほとんど理解出来なかったが、ソレイユが何か真剣に考えている事はその雰囲気からわかった。
「あ、すみません・・・・・・・・あなたには何の事か分かりませんよね。実はあなたが出会ったという黒フードの人物は、ある噂の人物ではないかと思ったのです」
「? ある噂って・・・・・どんな、つーか何の噂だ?」
「はい、あなたは自分の仕事に直接関係ない事は基本的に知ろうとはしないので、あと最近は噂の方もあまり聞かなくなったので、あなたには話していなかったのですが・・・・・・・・」
ソレイユはそう前置きすると、その噂について話し始めた。
「ちょうど2、3ヶ月前あたり、あなたがスプリガンとして活動し始めた時期ですね。その時辺りから、闇奴や闇人が殺されるという事件が起こりました」
「闇奴や闇人が殺される・・・・・・? どういう事だ? 闇奴や闇人は光の浄化以外では死なないはずじゃ・・・・・・・・・・ッ、そうか、『フェルフィズの大鎌』があれば・・・・・!」
ソレイユの言葉に疑問を覚えた影人だったが、影人は持ち前の勘の鋭さで自力でその答えに辿り着いた。
「あなたの勘の鋭さは相変わらずですね・・・・・・・・・ですが、その通りです。あなたから『フェルフィズの大鎌』の話を聞いた時、私もその答えに辿り着きました」
ソレイユは影人の勘の良さにもはや呆れつつも、影人の答えを暗に肯定した。
「話を少し戻します。今まで殺された闇奴と闇人の数は合計して3人。殺された場所は、アメリカ、イタリア、フランスの3つの国でした。闇奴・闇人化していた者たちは、最終的には人間の姿に戻り絶命しているのが確認されています」
ソレイユは指を3つ立てながら噂についての説明に戻った。




