表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
570/2051

第570話 歌姫オンステージ11(3)

「はー、普通に首飛んだわね。なんだ、生意気言ってた割には存外大した事ないじゃない。まあ、私が呪ってて動けなかったから当然か。さすが、私!」

「血が赤い? え、この子闇人じゃなかったのか? じゃあ、これで終わり?」

 風音が呆気に取られていると、真夏と刀時がそんな言葉を呟いていた。真夏は真夏らしい反応で、こんな時だというのに、自分を褒めるように笑みを浮かべている。正直敵とはいえ、見た目少女のモノの首が飛んで笑っている真夏は、ちょっとどうかと思うが、まあ真夏なのでそこら辺は考えても無駄だろう。

 一方、刀時はどちらかと言うと風音と同じような反応を示していた。呆気に取られているか、肩透かしをくらったとかそんな風な反応だ。少女が撒き散らした血の色は赤。それは闇人ではないという証拠だ。闇人は浄化以外では、例え首を斬られても死なないが、闇人以外となると首を切断されれば普通は死ぬ。それはこの少女も例外ではないはずだ。

「じゃあ、なんかよくわかんないロリはぶっ倒したし、普通にこいつらの相手に戻るわよ。風音、剱原。剱原は早くこっち戻って来なさい」

「え? あ、ああ・・・・・・」

 キベリアと響斬の方を向いた真夏が、そう言葉をかけた。真夏の言葉を聞いた刀時は、振り向いてそう声を漏らす。確かに真夏の言う通りだ。敵はまだ残っている。

「ふはっはっは! 残念だったわね、闇人ども! あんたらの希望は潰えたわ! さあ、観念しな――」

「アホね、あんたら」

 真夏が、蝙蝠扇子をビシリとキベリアたちに突きつけながら、高笑いを浮かべていると、キベリアがため息を吐きながらそう言葉を割り込ませてきた。

「は? 誰がアホですって?」

 キベリアにアホ呼ばわりされた事に苛立ったのか、真夏が表情を真顔に変える。

「アホはアホよ。私たちでも首を斬られたくらいじゃ死なないのに、その方が首を斬られて、体に穴を空けられたくらいで死ぬわけないじゃない」

「ははっ、違いない」

 キベリアは当然の言葉のように、真夏に向かってそう説く。キベリアの言葉に、隣の響斬も笑って頷いた。

「? どういう事よ、あのロリの血は赤かった。なら、闇人じゃない。闇人じゃないのに、首刎ねられて死なないって、そんな訳――」

「・・・・・榊原さん、おかしいです」

 真夏が意味がわからないといった感じの表情を浮かべていると、風音がそんな事を言ってきた。

「おかしいって・・・・・・何がよ?」

「私はさっきからずっとあの剱原さんの方向の方を、【あちら側の者】を見ていました。首が飛んで、宙に舞い、首はそのまま真っ直ぐに下に落ちていったはずなのに・・・・・頭が落下した音が聞こえないんです」

「っ!?」

 風音の抱いた疑問。それを聞いた真夏の表情が驚愕へと変わった。

 シェルディアの切断された首は、刀時の一撃が強烈だった事もあり、天高く宙に舞った。当然舞った首は地上へと落ちてくる。風音はシェルディアの首をずっと見ていた。刀時が振り返った辺りで、シェルディアの首は落下の軌道を描いた。首は真っ直ぐ下に落ちてきたが、風音の位置からは刀時が邪魔で地面に落下するところまでは見えなかった。

 それでも高度から落ちたならば、それ相応の音はするはずだ。ましてや、人間と同じ首。おそらく5キログラムくらいの重さはあったはずだ。ならば、ドサッとしたような音がしなければおかしい。

 だというのに、そのような音は未だに全く響いてはいないのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ