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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
553/2051

第553話 歌姫オンステージ8(1)

 突如として影人の前に立ち塞がった、死神を連想させるような謎の人物。影人に攻撃をしてきたその人物が持つ武器は、イヴによれば神殺しの大鎌であるらしい。

(そんな物騒な物を持った奴が攻撃してきた・・・・・・なら、こいつは敵って事でいいんだよな)

 色々と疑問はある。なぜこの人物が自分を襲ってきたのか、なぜイヴがあの大鎌の事を知っているのかなど。だが、影人はいま仕事の最中だ。自分はレイゼロールを追わなければならない。

「・・・・・・・・誰かは知らないがどけ。俺の目的の邪魔をするな。・・・・・・・・・・忠告は1度だけだぜ」

 影人はその金色の瞳を細めながら、低く冷たい声でそう言った。

「・・・・・・・・・・」

 しかし、黒フードを被り黒いローブを纏ったその謎の人物は沈黙したままだった。そして影人に答えを返すように、その凶々しい大鎌を構える。

「・・・・・・・それがお前の答えか。なら・・・・・・・・手荒に行くぞ」

 影人は虚空から鋲付きの鎖を複数本呼び出し、それを黒フードに向かわせた。まずは相手がどう動くか様子見だ。

「・・・・・」

 黒フードは自分に向かって来る鎖をその大鎌で断ち切っていく。鎖はかなりの強度を誇るはずだが、まるで紙切れを切っていくような手安さである。 

『気をつけろよ影人。フェルフィズの大鎌は全てを殺す大鎌。生物だろうが無生物だろうが、あの大鎌に断ち切れず刈れないものはねえ』

(そういう重要な情報は先に言っといてくれ・・・・・!)

 イヴが教えてくれた新たな情報を聞いた影人は、心の内でそう言葉を漏らしていた。さすがは神殺しと謳われるだけはある、といったところか。厄介な特性を持っている。

(なら・・・・・・・・・こいつはどうだッ!)

 影人は両手に闇色の拳銃を創造した。そして2丁の拳銃を黒フードに向けて一斉掃射する。

 弾切れのない銃から放たれた無数の弾が黒フードの人物を襲う。弾は鎖ほど的が大きくはないし、速度も段違いだ。これならばあの大鎌は容易には振れないはずだ。

 しかし、影人のその思惑は外れる。

「ッ・・・・・・!?」

 黒フードは凄まじい身体能力で銃弾を避けながら、最小限の動作で鎌を振るっていき、自分に直撃するような弾丸だけを切り裂いていったのだ。

「・・・・・・・・・」

 そして、黒フードはそのまま影人の方へと向かってきた。

「ちっ! 黒い流星よ、彼の者を貫け・・・・・・・!」

 影人は右の拳銃を突き出し、一撃を強化するための言葉を呟いた。威力を高めるために無詠唱の効率よりも、影人は威力を選択した。

 右の拳銃から放たれるはずだった弾丸は、黒い光の流星となって放たれた。その延長線上には、こちらに向かってくる黒フードがいる。回避の行動を取らなければ、黒フードは消し炭となって世界から消えるだけだ。

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