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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
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第543話 歌姫オンステージ6(2)

(今のは危なかったわ・・・・・・・・でも、やっぱりあいつらが攻撃して来たって事は・・・・ああ、クソッ。流石は最高位クラスの光導姫どもね。私の上位クラスの持ち駒がもうやられてるわ)

 内心キベリアは舌打ちをする。戦場全体を見てみると、キベリアが呼び出したモノたちは全て消失していた。

「――そうら、お手手とお別れしなよ」

 ザシュ、と何かを斬るような音が響いた。キベリアは視線をその音の発生した場所、刀時と響斬の方へと向ける。

「っ〜〜!? 痛っって・・・・・!『装斬そうき』の方だったか、択ミスッたなー・・・・・・・!」

 見てみると、響斬は左腕を和装の守護者に切断されていた。響斬の前腕辺りが地面に転がっている。どうやら先ほどの音は響斬の腕が斬られた音だったようだ。

「ッ・・・・・? 何で俺の技の名前を知ってるんだ? あんた、そういえばさっきから俺の技にギリギリで反応してたが・・・・・・・・」

「さ、流石に今の状況で答えはしないかな・・・・!」

 響斬は黒い血を腕部から噴き出しながら、全力のバックステップで刀時から距離を取った。

「情けないわねあんた。腕落とされてるじゃないのよ」

「キ、キベリアくんは鬼畜だなぁ・・・・・そ、そんな事より腕治してくれないかい? 本当、めちゃくちゃ痛い・・・・・・・」

 響斬が刀時や光導姫たちから距離を取った場所に、キベリアは箒で移動した。

「ちっ、あんたに私の貴重な魔力なんか使ってやりたくはないけど、仕方ないわね。――8の生命、彼の者の腕を治癒せよ」

 キベリアは舌打ちをしながらも、魔法を行使する。キベリアが左手を響斬の左腕へと向けると、暖かな黒い光が響斬の切断された左腕を包んだ。すると3秒後、響斬の左腕は刀時に切断される前の状態に戻っていた。

「ありがと、キベリアくん。腕が斬られたくらいじゃ僕らは死なないけど、やっぱり戦力は大幅に下がるからね」

 響斬はキベリアに感謝の言葉を述べながら、両手で刀を握りしめた。闇人は力を封印されている状態でも浄化以外で死にはしない。それは力を封印されていても、闇人は闇人というカテゴリーに属するからだ。何なら、力を解放した状態よりもかなり時間は掛かるが、自然治癒で切断された腕も生えて来る。だが、戦いの場でそんな時間は取れないし、片腕だけでは満足に戦う事も出来ない。そういった理由から、響斬はキベリアに治癒を依頼した。

「死ぬ気で私に感謝しなさいよ。と言っても、状況は変わらず尋常じゃないくらい劣勢だけど・・・・・」

 キベリアは厳しい視線を光導姫たちへと向ける。自分の上位クラスの持ち駒はもう既に倒され、その他の魔法の行使などもあり、キベリアの魔力はもう半分ほどになっている。今の調子で魔法を使い続ければ、キベリアの魔力はすぐに尽きるだろう。そうなれば、いよいよ自分たちは終わりだ。

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