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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
523/2051

第523話 歌姫オンステージ2(4)

「お邪魔しまーす・・・・・」

 目的の教室にたどり着いたソニアは、そう呟きながら教室に入った。

 教室にはパンフレットに書かれていた通り、習字や図工の授業で作られた作品などが展示されている。そして監督だろう女性教師が1人、教卓のイスに腰掛けて――

「あっ・・・・・・・・!」

 その女性教師の顔に見覚えがあったソニアは、驚いた表情でそう声を漏らす。そして、小走りでその女性教師に近づき日本語で声を掛けた。 

「高町先生! お久しぶりです! 私です! 覚えてますか!?」

「えっ、私・・・・・・? あなたは・・・・・・・・・?」

 興奮したように突然そう声を掛けてきたソニアに、春子は戸惑ったような顔を浮かべていた。その顔は、全く心当たりがないといった顔だ。

(そっか、私変装してるんだった。今周りに人は・・・・・いない。なら、大丈夫だよね)

 春子の戸惑いの理由を理解したソニアは、周囲に自分たち以外人がいないのを確認すると、括っていたゴム、キャップとメガネを取った。

「これで、分かりますか?」

「その顔・・・・・・・・・・も、もしかしてソニアちゃんなの!?」

「はい! 4年生の時に先生のクラスの生徒だった、ソニア・テレフレアです!」

 驚いている春子に、ソニアは嬉しそうな笑みを浮かべながらそう答えた。

 そう。実はこの高町春子は、ソニアが小学4年生の時のクラスの担任でもあった。外国人であったソニアにも優しく接してくれた人物で、ソニアは春子の事をよく覚えていた。

「まあまあ、こんなに大きく可愛くなって! もちろん昔も可愛かったけど、今は花盛りって感じね! それに今じゃ世界の歌姫なんですものね! 本当、凄いわ!」

 ソニアの成長した姿を見た春子は、それはそれは嬉しそうだった。かなりの大声でそう言った春子に、ソニアは少し慌てたようにこう言った。

「す、すみません先生。私、今ちょっとオフで来てるので、もう少し声の大きさを抑えてもらっていいですか?」

「あっ、ごめんない。私ったらつい・・・・・・そうよね、ソニアちゃんも今や超がつく有名人ですものね」

「あはは、すみません。でも、嬉しいです♪ 私があのソニアって、分かっていてくださったんですね」

「そりゃあ、分かるわよ。私、教え子の顔は忘れないから。それに、ソニアちゃんは元気で明るい子だったから、余計覚えてたわ」

 ソニアと春子は昔を思い出しながら、そんな事を言い合った。それから2人は少し話し合った。話の内容は主に昔の事だったが、ソニアがここに来た理由など現在の事も、ソニアは春子に話した。

「そう、急がしいのに何とか時間を作って・・・・・よかったわ。ソニアちゃんとって、この学校がそう思える場所であって」

「はい♪ 日本にいて、この学校に通ってた3年間は私にとって、とても大切な思い出ですから」

 しみじみとした口調でそう述べた春子に、ソニアは暖かな笑みを浮かべながら、そう言葉を返す。本当に、ソニアにとって日本にいた頃の記憶は、とても大切なものだった。

「ふふっ、それにしても今日はいい日だわ。懐かしい顔に2人もあったんだから。こういうのがあるから、教師はやめられないのよねえ」

「へえ! 私以外にも誰か昔の生徒さんが来たんですか。もしかして、私も知ってる子ですか?」

 軽い興味本位でソニアはそんな質問をした。ソニアの質問に春子は、「さあ、たぶん知らないと思うけど」と前置きして、こう答えた。

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