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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
505/2051

第505話 光導会議(後編)3

「私もスプリガンは敵派です! 色々危険そうだし、何より私より目立って格好よさそうなのが腹立つから!」

 更にメティに続き、ランキング10位『呪術師』の真夏も敵と認定する意見を述べた。真夏の意見はどちらかというと、後半の「私より目立って格好よさそうなのが腹立つ」という意見の方が主な気がするが(ちなみに真夏はスプリガンとは邂逅した事がないため、ここで言っている格好よさそうは外見の話ではなく、その噂や立ち位置、力などについてである。真夏はスプリガンの噂や戦果を聞いて、「何か格好よさそう」と思っていた)、まあそれも、最高位ランカーの1人としての意見である。

「わ、分かりました。ええと、エルミナ、メティ、真夏は敵と認定する派ですね。・・・・・・これで、スプリガンを敵としない意見が1、敵とする意見が4ですね。次に誰か――」

 いきなり増えた敵認定意見にソレイユが少し焦っていると、ソレイユの左横の少女がいきなりこんな言葉を言った。

「私は――スプリガンさんに会った事があります」

「「「「「「ッ!?」」」」」」

「へえ・・・・・」

「ほう・・・・・」

 ランキング1位『聖女』のファレルナ、その突然の告白に、円卓に着く者たちは驚いたような、興味深そうな反応を示した。特に菲とロゼはニヤニヤとした笑みを浮かべていた。

「それは・・・・・・・私も初耳ですね、ファレルナ。あなたはいつスプリガンに出会ったのですか?」

 ソレイユが不思議そうな顔でファレルナにそう問うた。もちろん、ソレイユが初耳というのは嘘だ。何せスプリガンをファレルナの元に送ったのは、ソレイユだからだ。だが、ソレイユはファレルナからスプリガンと出会ったという報告はまだ正式には受けていなかった。そのため、ソレイユがその事を知っているのはおかしい。ゆえに、少し白々しくはあるがソレイユはそう聞き返したのだ。

「すみませんソレイユ様。報告しようかずっと迷っていたもので。その報告を今ここでしようと思います」

 ファレルナはそう言って、スプリガンとの邂逅についての全てを話した。日本を訪れていた夜に、闇奴の浄化をした直接にスプリガンが出現した事。そしてスプリガンに色々と問われた事。

「・・・・・・なあ、聖女様よ。あんたそれ普通に脅されてねえか?」

 ファレルナの話を聞き終えた菲は、心底呆れたよう顔でそんな感想を呟いた。いたって真っ当なツッコミである。

「そうとも言うかもしれませんね。ですが、スプリガンさんは約束を守ってくださいました。それに彼は笑いました。あの笑みに邪さは何1つなかったです。・・・・・私にはスプリガンさんを単純な敵だとは思えないんです。直感になってしまって申し訳ありませんが、私はスプリガンさんを敵だとは思いません。だから、私はスプリガンさんを敵とは認定しない意見を述べさせていただきます」

 ファレルナは真っ直ぐな瞳でそう言い切った。どこまでも自身が感じた事に素直に、ファレルナは意見を述べた。

「ケッ、さすが聖女様だぜ。甘ちゃんな意見だ」

 そんなファレルナの意見に菲は皮肉混じりの言葉を呟いたが、ソレイユはただただファレルナに感謝していた。

(ありがとうございます、ファレルナ。スプリガンを、影人を信じてくれて・・・・・・・・やはり影人の提案通り、あなたとスプリガンを会わせて正解でした)

 ソレイユが影人のあの提案を受け入れたのは、ファレルナのスプリガンに対する反応を見るためだった。そしてファレルナがスプリガンに対し、穏やかな反応を見せれば御の字というものだったが、結果としては、あの邂逅がファレルナがスプリガンを敵と認定しない意見に判断させたのだ。やはり、あの時に邂逅させてよかったとソレイユは心の底から思った。

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