第504話 光導会議(後編)2
「理由は簡単ですわ。その方が光導姫や守護者を助けたから。確かにこちらに攻撃してくる事もあるようですが、それは単純に相互理解が足りていないだけだと思いますわ。その宣言を聞くに、確かにスプリガンにはこちらに歩み寄る意志はないのかもしれません。ですが、だからといってこちらから歩み寄る意志を無くしてしまっては、永遠に敵のままですわ。淑女の国際条約第15条、淑女は歩み寄りの精神を持て。私はいつだって歩み寄る者でいたいのです」
メリーは自身の意見の理由をアイティレや円卓に着く者全員に伝えた。そんなメリーの意見を聞いた菲が白けたような顔を浮かべる。
「ケッ、どの口が言ってんだ」
「あ・な・たは別ですわ。あなただけは、拳で語り合う必要があると思っていますから」
菲の揶揄するような言葉に、メリーはフンといった感じの態度を取る。ともあれ、光導十姫の内1人の意見が述べられたのだ。しかも認定しないという意見で。ソレイユは内心メリーに感謝しつつ、言葉を発した。
「メリー、意見をありがとうございます。これでスプリガンを敵と認定しない意見が1人ですね。次にどなたか意見が決まった、決まっている人はいますか?」
「では私からソレイユ様。・・・・・・・・私はスプリガンを明確に敵だと認識しています。奴は闇の力を扱う悪しき者。知っての通り、闇の力は私たち光導姫とは違い、負の感情によって強さを増すもの。そんな暗い感情を抱き、私たちに攻撃し敵対宣言を行った人物を私は味方だとは思いません。そして癪な事ではありますが、奴の闇の力は強大無比。私は奴の力が危険だと感じています。よって、私はスプリガンを敵と認定する意見です」
次にソレイユに意見を具申したのは、ランキング3位『提督』のアイティレだった。アイティレは以前からのスタンス通り、スプリガンを敵と認定する意見だ。そしてもう1つ、アイティレにはスプリガンを敵と認定しなければ、いや認定されなければならない理由がある。
(もしスプリガンが敵と認定されなければ、本国から極秘裏の任務を受けている私の動きは大幅に制限されるかもしれない。出来れば、その事態は避けたい所だ)
それはアイティレの内なる秘密。アイティレの真の留学目的、スプリガンの捕縛か暗殺。その任務のためにも、アイティレは出来る事なら、この会議でスプリガンを敵と認定したいのだ。
「・・・・・アイティレ、意見をありがとうございます。あなたの意見は常に冷静ですね。さて、これで認定しないが1、認定するが1になりました。他の方は・・・・・・・・エルミナなどはどうですか?」
「んー、私の意見か。そうだなー、色々と難しい問題だけど、私はどっちかというと敵と認定する方かな。理由は、向こうが敵だって言ってるから、です」
「ッ・・・・・・・・そうですか」
ランキング5位『鉄血』のエルミナは、悩むような仕草をしながらもそう意見を述べた。そのエルミナの意見にソレイユは少し驚いた。てっきり、どこかのほほんとしているエルミナは、スプリガンを敵と認定しないと思っていたからだ。
「あ! 私もエルミナと一緒だソレイユ様! 向こうが敵って言ってくるなら、敵だと私は思うぞ!」
そしてエルミナに続くように、ランキング8位『閃獣』のメティもはいはいといった感じで手を挙げた。




