第502話 光導会議(前編)6
「ファレルナ、ロゼ。急がしい中、会議に出席してくれてありがとうございます。どうぞ席に着いてください。――さてみなさん、会議を始める時間となりましたが、もう少しだけお待ちください。今回は、光導十姫が全員揃って会議を始める事が出来そうですので」
「ッ・・・・・ソレイユ様、それって・・・・・・・」
ファレルナがソレイユの左横の席に、ロゼがメリーの左横メティの右横の席に腰掛けるのを見計らってソレイユは円卓に着く者たちにそう伝えた。ソレイユの言葉を聞いた風音が、やはりといった感じでそう言葉を掛けたその瞬間、最後の来訪者を告げる光のゲートが1つ出現した。
「お、私以外もう全員集合してるじゃん。ハーイ、みんな。ひっさしぶりー♪」
ゲートから現れたその少女は掛けていたサングラスをクイっと右手で上げると、パチリとウインクをしてそう言った。オレンジに近い金色の長髪に、白のブラウス、ビビッドピンクの短めのスカートにはオシャレにベルトが2本巻かれている。足元はこれまたオシャレなサンダルを履いていた。
一見するとモデルのようにも見えるが、こう見えて彼女の本業は歌手である。しかもファレルナやロゼと同じ、世界に名だたるレベルのだ。
「ソニア・・・・・」
光導十姫最後の1人の登場に風音は、つい彼女の名前を呼んでいた。
「お久しぶりですソニア。本日は会議への出席ありがとうございます。来たばかりで急かしてしまって申し訳ありませんが、早速席に着いていただけますか?」
「りょーかいですソレイユ様♪ というか逆にごめんなさいです。本当はもうちょっと早くこっちに来れる予定だったんですけど、ちょっと急な予定が入っちゃって」
ソレイユの迎え入れるような言葉に、ソニアは軽く両手を合わせながら謝罪した。外国人の割には、日本人っぽい仕草をする少女である。
「よいしょっと。いやー去年は出席してなかったから、なんだかずいぶんと久しぶりな感じだなー♪ ファレルナもそんな感じ?」
「そうですね、ソニアさん。私もソニアさんと同じ感じです」
ファレルナの左横、アイティレの右横の席に着いたソニアはファレルナにそう話しかけた。ソニアとファレルナは去年の会議には出席していなかったので、自然とその辺りの話は合うのだ。
「・・・・・全員出席の会議か。2年前以来だな」
「うんうん。みんなとこんにちは出来て良かった」
「いい事ですわ。議論は数が多い方が研磨できますもの」
「みんな集まれてよかったぞー! 今日はいい日だなー!」
「くくっ、無駄な会議だと思ってたがついてるぜ。後でファレルナとソニアとロゼからサイン貰おう。んで転売だ。・・・・・・・・・あ、クソッ。紙とペンがねえじゃねえか」
「あんた考えてる事ががめついわね菲・・・・・」
アイティレ、エルミナ、メリー、メティ、菲、真夏が思い思いの言葉を述べる。何はともあれ、ランキング1位から10位までの光導姫が全て円卓に着いた。これで会議を始める事が可能となった。
「では出席者が全員揃った事なので、光導会議を始めたいと思います。例年通り、形式上みなさんの光導姫名と本名を呼ばせていただきます。返事は例年通り不要です」
ソレイユは円卓に着く者たちを見回しながら、各々の光導姫名と名前を声に出した。
「――光導姫ランキング1位『聖女』、ファレルナ・マリア・ミュルセール」
ソレイユは『聖女』に視線を向け、
「――光導姫ランキング2位『歌姫』、ソニア・テレフレア」
次に『歌姫』に視線を向け、
「――光導姫ランキング3位『提督』、アイティレ・フィルガラルガ」
3番目に『提督』に視線を向け、
「――光導姫ランキング4位『巫女』、連華寺風音」
4番目に『巫女』に視線を向け、
「――光導姫ランキング5位『鉄血』、エルミナ・シュクレッセン」
5番目に『鉄血』に視線を向け、
「――光導姫ランキング6位『貴人』、メリー・クアトルブ」
6番目に『貴人』に視線を向け、
「――光導姫ランキング7位『芸術家』、ロゼ・ピュルセ」
7番目に『芸術家』に視線を向け、
「――光導姫ランキング8位『閃獣』、メティ・レガール」
8番目に『閃獣』に視線を向け、
「――光導姫ランキング9位『軍師』、胡・菲」
9番目に『軍師』に視線を向け、
「――光導姫ランキング10位『呪術師』、榊原真夏」
そして最後に『呪術師』に視線を向けた。
「以上10名と私、光導姫の神ソレイユの名を以って、ここに『光導会議』の開催を宣言します」
ソレイユの開会の宣言を以って、今年の光導会議の幕は上がった。




