第500話 光導会議(前編)4
「余計なお世話だバカ舌のイギリス野朗。私がどんな性格をしてようが私の自由だろ。お前こそ、そのダサい髪型変わってねえのな。キモいんだけど」
「なっ・・・・・!?」
メリーからそう言われた菲という少女はケッと悪態をつきながら、そんな言葉を返した。菲の中々に強烈な言葉を受けたメリーは絶句した。
「・・・・・・・・・私を侮辱しますか。いいでしょう、受けた屈辱は何倍にしても返すというのが淑女というもの。表に出なさい守銭奴のクソ眼鏡。あなたに淑女ファイトを申し込みますわ・・・・・!」
「どっちが先に言ってきたのか忘れたか? 痴呆かよ。あと私は金にならない事は基本しない主義だ。誰がやるかよ。分かったらさっさと憤死しろ」
拳を怒りに震わせるメリーに更なる煽り言葉を送り続ける菲。まさに一触即発の2人に声を掛けたのはアイティレだった。
「やめろ『貴人』、『軍師』。ソレイユ様の御前だ。お前たちの仲の悪さは承知しているが、いつもいつも顔を合わせるなり罵り合う様を見せられるのは、こちらもあまり気分はよくない」
「うっ・・・・・・確かにその通りですわね。私としたことが・・・・・皆様に無礼をお詫びいたしますわ」
「私は謝らねえぞ。突っ掛かって来たのはそっちだからな」
「っ・・・・菲、あなた・・・・・!」
アイティレに睨まれたメリーは冷静さを取り戻したのか謝罪の言葉を述べたが、菲は態度を変える事はなかった。そんな菲を鬼のように睨むメリーだったが、今度はソレイユが仲介の言葉を放った。
「まあまあ、2人とも。とりあえず一旦落ち着きましょう。確かに発端はメリーのような気もしますが、菲も少し言葉が強すぎましたし。はい、2人とも形だけでもいいのでお互い謝罪しておきましょう。一応、私たちはこれから会議をしますからね」
「ちっ、雇い主にそう言われちゃ仕方ねえか・・・・・・悪かったよ、私もちょっと言葉が強すぎた」
「・・・・こちらこそ、いきなりあなたに対して無礼でしたわ。申し訳ありませんでした」
ソレイユからそう言われた菲とメリーは、お互いに形だけはそう謝罪しあうと、フンと顔を背け合った。そしてまだ席に着いていなかった菲は、真夏の右横、既に席に着いていたメティの左横の席に腰を下ろした。
「あんたたちの仲の悪さも変わらないわね菲。まあ毎度毎度ケンカするって事は、もはや仕方ない感じ?」
「水が合わないんだよ、イギリスのお貴族様とは。そもそもの価値観が違いすぎるからな」
「でも仲間なんだから仲良くなれた方が絶対いいと思うぞ! 私は菲もメリーも、全員大好きだ!」
「あんがとよ。私もお前は好きだぜメティ」
自分の右隣に腰を下ろした菲に、真夏はそう話しかけた。真夏の問いかけに菲は円卓に右肘をつき、頬杖しながらそう言った。そして菲の右横のメティの言葉には、菲は少しだけ口角を上げ優しい言葉を返した。
「菲とメリーは本当に仲がいいなー。なんだか羨ましい感じだよ」
「あなたの目は節穴ですの・・・・・・・? どこをどう見れば、私と菲の仲が良く見えるんですの?」
一方エルミナにそう言われたメリーは軽く引いたような目で隣のエルミナを見た。呆れるほどの観察眼のなさである。
「さて、これで7人が集合しましたね。前回はこのメンバーで会議を行いましたが、今年の会議は一応全員出席できると聞いているので、後は――」
ソレイユがそう言葉を続けようとした時、ちょうど新たな光のゲートが2つ出現した。




