第499話 光導会議(前編)3
「ん? ああ、メリーもいたのか。こんにちはだ、メリー」
「あなた私と同時にこの場に現れたのに、何を言っていますの・・・・・・・・・はぁー、どうやらあなたの天然ぶりは変わっていないようですわね、エルミナ」
淡い金髪の少女が今更ながらメリーに気がついたのか軽く手を振ってきた。そんな少女にメリーは呆れたような表情を浮かべ、軽くため息を吐いた。
「まあ、いいですわ。さっさと席に着く事といたしましょう。本来ならばアフタヌーンティーをいただきたい時間ですが、会議が終わるまでの我慢ですわ」
「うん、そうだね。ところで・・・・・・・私の席はどこだったっけ?」
「私の右隣ですわ!」
「ああ、そうか。メリーの横だった」
「全く・・・・・あなたが私よりランクが上なのが相変わらず納得できませんわ」
メリーはそう言って、風音から左に2つ離れた席に腰を下ろした。その様子は若干怒っているような呆れたような様子だった。
「じゃあ、私の席はここだな。うん、そうだそうだ。風音とメリーの間だった」
エルミナは何度も頷くと風音の左横、メリーの右横の席に腰を下ろした。そんなメリーとエルミナの様子を見ていた残りの3人は思い思いの言葉を口に出した。
「あはははは! やっぱり、あんたたちのやり取り面白いわね! 漫才見てるみたいだわ!」
「『鉄血』と『貴人』は変わらないな。だが、いいと思うぞ」
「うーん、和むなぁ。やっぱり光導会議は2人がいてこそだよね」
「あなた達バカにしてますの!?」
真夏、アイティレ、風音の言葉を聞いたメリーはキィーと怒ったように円卓を叩いて立ち上がった。見た目の割に、感情豊かな少女である。
そんな中々に姦しい雰囲気になってきた神界に、新たな来訪者を告げる光のゲートがまた2つ現れた。2つのゲートから現れたのは東洋人の少女と、活発そうな褐色の肌の少女だ。
「はあー、今年もまた何の金にもならない時間が来たぜ。1秒でも早く終われ」
ガリガリと不機嫌そうに頭を掻きながら、東洋人の少女はそう呟く。首元にかかるくらいの黒髪に、眼鏡を掛けた少女は一見すると、大人しそうな印象だが、その表情は不機嫌から歪んでいた。さらに少女の言葉も相まって、見た目とのギャップが激しい。服装は長ズボンに白のシャツ、それに赤色の少しボロめの上着だ。
「やっはー! みんな久しぶり! 会いたかったぞー!」
褐色の肌色の少女は、元気そうにそう言って円卓につく者たちに両手で手を振った。日に焼けた黒髪は東洋人の少女と同じくらいの長さだ。服装は黄色のシャツ1枚にホットパンツといったかなりの薄着で、そこから覗くしなやかな手足は猫科の動物を連想させる。
「久しぶりですわね、メティ。やはりあなたの野生的な美しさは素晴らしいですね。菲、あなたに関しては・・・・・・・・その態度の悪さが変わっていない事が残念ですわね。とても同じ女性とは思えませんわ」
褐色の少女にメリーはニコリと笑みを浮かべそう言った。しかし東洋人の眼鏡を掛けた少女には、態度を一転させて、どこか軽蔑したような視線を向けた。




