第497話 光導会議(前編)1
「さて、いよいよですね・・・・・・」
時は少し遡りラルバが守護会議を行う前、ソレイユは自身のプライベートスペースに11人掛けの円卓を設置しながら、そう呟いた。
現在の時刻は午後2時45分。会議に参加する光導姫たちはまだ誰もやって来ていないが、会議が始まる予定の午後3時までには大体の人物たちが集まって来るだろう。
(ここが一種の踏ん張りどころです。守護会議の方は恐らくスプリガンを敵と認定する可能性が高い。さらに光導会議でもスプリガンが敵と認定されれば、影人は私たちサイドから明確に敵と認定される。その結果を防ぐためには、光導会議でスプリガンを敵と認定しない結果を得る事が必須条件)
ソレイユはぐっと拳を握り、真剣な表情を浮かべた。ソレイユは現状段階ではスプリガンを敵と認定されたくない。そのためには、光導会議の結果が最重要だ。もし光導会議でスプリガンが敵と認定されなければ、まだ現状でスプリガンが敵と認定される事はないはずだ。ソレイユとラルバが交わした約定は、お互いのランカー10位までの意見を聞き、その総合的な結果をお互いに提供し、吟味するといったものだ。
当然意見が一致したならば、その結果が確定されるが(この場合はスプリガンが敵と認定される事)、意見が不一致であるならば、その結果はお互いの会議の結果の中間的なものになる。ソレイユはそれを狙っていた。
「全く、企み事は苦手なんですけどね・・・・・」
ソレイユは軽くため息を吐いた。スプリガンに関する全てのことを隠蔽し、影から影人に指示を出しているソレイユだが、本当はこういった企み事は苦手だ。だが、やらなければならない事情と目的があるからこそ、ソレイユは苦手な事も全力でやっている。
「とは言っても、会議の結果は光導姫たち次第ですからね。私も多少はスプリガンの肩を持つ発言はするつもりですが・・・・・・・・それでもやはり難しいですね」
ソレイユが2度目のため息を吐くと、ソレイユの左斜め前方に突如光のゲートが出現した。
「っ・・・・・・」
ソレイユが少し慌てたようにそちらの方を見てみると、ゲートから3人の少女が現れた。
「さーて、今日は誰が来るかしらね? 私的にはファレルナとソニアとロゼはまた出席しないって踏んでるけど!」
「急がしいですもんね、彼女たちは。でもロゼさんは気まぐれだから、もしかしたら来るかもしれないですよ榊原さん」
「風音の予測は当たっているかもしれないな。なにせ、『芸術家』は我々からすれば中々に理解し難い性格をしている」
そんな事を話しながら、現れた3人の少女たちはランキング10位『呪術師』の榊原真夏と、ランキング4位『巫女』の連華寺風音、ランキング3位『提督』のアイティレ・フィルガラルガであった。3人とも制服姿だ。3人は円卓の真ん中の上座に着くソレイユに気がつくと、挨拶をしてきた。
「こんにちはソレイユ様! お久しぶりです!」
「今日は会議にお呼びいただき、誠にありがとうございます」
「ランキング3位『提督』、ただいま御目の前に」
元気いっぱいに挨拶をしてくる真夏、丁寧な口調でスッと頭を下げる風音、そして畏まった口調でそう言ってきたアイティレにソレイユは笑顔で対応した。




