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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
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第496話 守護会議(後編)6

「わざわざそういう宣言をしたからです。先ほどもいいましかたが、本当に敵ならわざわざそういった事をする必要はありません。むしろ、僕にはスプリガンの宣言は『そちらが何もしないのなら、こちらも何もしない』と言っているように聞こえます。だから、僕は意見を変えるつもりはありません」

 その様はまさに泰然自若。再び堂々とプロトは自分の意見を円卓につくもの全てに伝えた。

「ふん・・・・・・お前のそういう甘さは、やはり嫌いだな」

「いやー、プロトって感じだなー」

「本当、変わってないなー我らがランキング1位は」

「甘いと分かっていても自分の意志は曲げない・・・・・それもまた一流だ」

 プロトの言葉に、ハサンは呆れ、刀時とショットはただ笑みを浮かべ、エリアは一種の尊敬の念を送った。イヴァンと葬武は別段何の表情の変化も見せていなかった。

(それが・・・・・・・・・『守護者』の意見か)

 自分の目標でもあり、憧れの対象でもあるプロトの意見に、光司は複雑な気持ちを抱いていた。

 プロトの意見は光司とは違う意見だ。光司はまだラルバに聞かれてはいないが、認定派の意見だ。憧れであり目標の人物の意見と自分の意見は違う。光司はそこに複雑な気持ちを感じていた。

「・・・・・・分かったよ、プロト。俺が野暮だったな。これで認定派6人、否定派1人になった。最後は・・・・・・・・・光司、お前はどういう意見だ?」

 ラルバは仕方がないと軽く息を吐くと、この円卓につく最後の人物、光司に意見を聞いた。まあいい。どちらにせよ結果は変わらない。

「僕の意見は・・・・・・認定派です。僕は何度か奴に会った事がありますが、僕はずっとスプリガンは危険だと思っていました。・・・・・それが僕の意見です」

 ランキング10位『騎士』の光司は、神妙な面持ちで自分の考えを述べた。これが光司の意見だ。ずっと前から、スプリガンと出会った時から、光司はスプリガンの事を危険だと感じていた。スプリガンを信じている陽華や明夜には申し訳ない気持ちもあるが、それが香乃宮光司の変わらぬスタンスだ。

「光司の意見も分かった。お前は何度もスプリガンに直接出会った奴だ。そんなお前がそう感じるなら、説得力もある。・・・・・・・・これで、この場にいる全員の意見が揃ったな。スプリガンを敵と認定する認定派が7人。スプリガンを敵と認定しない否定派が1人。『死神』と『弓者』に関しては、会議に出席できない代わりにもう意見は聞いてある。『弓者』は認定派、『死神』は多数派に1票って事だから、これで認定派は9人になった。残念だけどプロト。ここは多数派の意見に従ってもらうぜ」

「はい。多数派が僕以外の全員ならば、僕もその意見に従わざるを得ないでしょう。了解しました」

 ラルバが全ての意見をまとめ終え、プロトにそう確認を取った。プロトも仕方がないといった感じではあるが、ラルバの言葉に頷いた。

「悪いな。では守護会議の意見を全てまとめた結果を改めて発表する。守護者側はスプリガンを・・・・」

 ラルバはそこで少し間を置くと、会議の結果を発表した。


「――敵と認定する事とする。これは厳正なる守護十聖の意見、論議の結果である。守護者の神、ラルバはこの結果を保証し認める」


 守護会議の結果は、スプリガンを敵と認定する事に決まった。これで光導姫側でもスプリガンを敵と認定する事が決まれば、スプリガンは光サイドから明確に敵と認定される事になる。 

「よし、じゃあ1番論議しなきゃならないやつは終了したな。後はいつも通りの会議といくか」 

 ラルバはそう言って、他の議論について話し始めた。他の守護者も態度は様々であるが、ラルバの言葉に耳を傾ける。守護会議はそれから淡々と進行した。

 ――スプリガンを敵と認定したいラルバ。スプリガンを現状は敵と認定されたくないソレイユ。神々の思惑が絡み合うその全ての結果は、守護会議と同時に行われている光導会議に託された。

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